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木更津港の全景

【港湾概要】
【水域】8,600ha
【陸域面積】1,965ha
【バース数】公共18バース、専用75バース
【入港船舶】1万9,940隻(2010年)
【取扱貨物量】6,903万t(2010年)
【貿易額】輸出2,956億円、輸入8,043億円
 戦後の高度経済成長を支えた京葉工業地帯に位置する木更津港。千葉県南部地域の経済社会基盤を支え、全国に103ある重要港湾では最も多い貨物取扱量を誇る。新日本製鐵株式会社と東京電力株式会社の原料輸入が大半を占め、鋼材・鉄鋼製品の輸出も堅調に推移している。だが、近年は世界的な貨物船舶の大型化による競争激化や、東京湾横断道路(アクアライン)の開通をきっかけとしたJR木更津駅前地区の衰退などの課題にさらされており、ハード・ソフト両面での対応が急務となっている。
国際バルク戦略港湾に選定〜VLOC船対応へ増深化
鉄鋼の競争力強化に貢献
木更津港概略図。富津、君津、木更津南部、吾妻の4地区に分かれている。
 国土交通省は2011(平成23)年5月31日、水島・福山港や釧路港、小名浜港など10港とともに、木更津港を「国際バルク戦略港湾」に選定した。穀物、鉄鉱石、石炭の品目ごとに、予算を集中投資する港湾を審査し、木更津港は超大型鉄鉱石運搬船(VLOC船)による全国連携港湾との共同配船を実現するという千葉県の提案によって、「国際バルク戦略港湾」に選ばれ、一括大量輸送の拠点港として機能拡充が図られることになった。
 大型船による一括大量輸送は、国際競争力の強化と物資の安価かつ安定的な輸送の確保につながる。バルク戦略港湾に指定されたことで、国による集中投資と、港湾物流機能の効率化につながるとの期待が高まっている。
 バルク戦略港湾の前提としているのが、VLOC船の入港。全長340m、吃水21mという超大型船をまず、ファースト・ポートである木更津港に入港させて一部の荷下ろしで吃水を調整。続いて、セカンド・ポートである国内の連携港湾に寄港させる共同配船の仕組みを考えている。鉄鉱石の日本到着価格に占める海上輸送費の割合は、原油などに比べて大きいため、VLOC船が満載で入港できれば、積載量に反比例して輸送コストの縮減につながる。
 共同配船の仕組みが実現できれば、鉄鋼業界全体の国際競争力強化にも貢献できる。
 現時点で想定している連携港湾は川崎、東播磨、呉、北九州、室蘭、千葉、鹿島、名古屋、和歌山下津の各港で、いずれも製鉄所が立地する。鉄鉱石の原産地であるブラジルや南アフリカから満載状態で直接入港するには、各港それぞれが、増深化などハード面での整備を行う必要があるが、共同配船にすることで集中投資が可能になる。
 木更津港をファースト・ポートとする国交省への提案では、VLOC 船の入港を可能とするために、2020(平成32)年を目標に木更津航路の水深を現行の19mから23mに増深する。その浚渫規模は1500万m3と想定されるが、現在の450mの航路幅員を拡幅する可能性もあり、全体の事業規模の検討が進められている。
 合わせて、木更津港内でVLOC船が接岸する新日本製鐵の中央岸壁の増深も検討されている。同社の中央岸壁は、連続する3つのバースで構成され、鉄鉱石船だけでなく、石炭船の着岸もある。岸壁の総延長は1,067mを誇り、このうち延長約420m分の水深を19mから23mに増深し、増強させる方針だ。また、VLOC船の着岸機能を、現在利用している中央岸壁以外に移転するプランも検討中で、計画の具体化にはもう少し時間がかかりそうだ。
 さらに、国の財政事情から、事業費の圧縮ムードも漂っており、できる限りローコストの施策が求められている。計画が固まった段階で、千葉県は港湾計画の一部変更手続きに着手する方針だ。
公共埠頭の整備〜特区利用し輸出増加
大型船用の耐震強化岸壁整備計画も
君津地区
 製鉄所を持つ新日本製鐵と、富津火力発電所を持つ東京電力という2つの巨大企業の専用岸壁が中心の木更津港だが、公共用の埠頭整備も着実に進展している。公共用岸壁としてはメインの木更津南部地区でE、Fという延長130mの2つの連続する岸壁を、水深7.5mから水深12mに増深するとともに、耐震化する計画がある。泊地約11.7haも、一部エリアで水深7.5mの場所があり、水深12mに増深した。エプロンは、15mから20mに拡幅する見通しだ。
 耐震化した岸壁は、公共用では富津地区に水深7.5m岸壁が1バース(延長130m)あるだけだ。
 近年の新興国市場の急速な発展に伴って、中国を中心に鉄鋼・鋼材の輸出量が好調に推移している。このため、従来使用していた君津地区にある専用岸壁では出荷能力に余裕がなくなり、鋼材の輸出に木更津南部地区の公共用岸壁の活用策が浮上した。
 ところが、工場と公共用岸壁の間の一般道路を大形特殊車両が通行するには、道路運送車両法の規制緩和を受けなければならない。そこで、政府に「構造改革特別区域」の指定を申請。2006(平成18)年3月に指定された後、「木更津港湾物流効率化特区」として工場と公共用岸壁間の一般道路を大型特殊車両(最大積載量約140トン)の通行が認められるようになり、港内陸上部分での効率的な貨物輸送が実現した。
 これとともに、2008(平成20)年からは公共用岸壁から中古自動車の輸出もスタートした。中古自動車の東南アジア方面への輸出が増えており、鋼材の輸出も堅調なことから、公共用岸壁としての機能強化はますます求められる。現在、大型自動車運搬船に対応する泊地の拡大計画はほぼ完了している。
吾妻地区〜発祥の地に賑わいを
中心市街地の再活性化へ
木更津南部地区から吾妻地区を見る
 木更津港は、東京湾東部のほぼ中央に位置し、京葉工業地帯の一角にある。1968(昭和43)年に関税法の「開港」を迎えたほか、重要港湾の指定を受けた。取扱貨物量は全国の港湾中12位だが、国内に103港ある重要港湾の中ではトップを維持している。取扱貨物量の65%が輸入で、公共用岸壁の利用は6%という特徴も、工業地帯の立地ならではといえる。
 木更津港発祥の地ともいえるのが、現在の吾妻地区周辺の通称「木更津内港」。木更津市の中心であるJR木更津駅から約700mの場所で東京湾横断道路(アクアライン)が開通するまでは、川崎市を結ぶカーフェリーの拠点だった。1997(平成9)年のアクアライン開通によりカーフェリーが廃止されてからは、同地区の利用が減少。施設の老朽化が重なった上に、駅前の中心市街地の再活性化が行政課題になるなど、木更津港と一体になった「まちづくり」が求められてきた。そこで、吾妻地区に大型旅客船埠頭やマリーナの整備構想が浮かんだが、社会情勢の変化などから必要最小限の投資で賑わい創出を目指す方向性が打ち出された。毎年8月に内港を中心に行われる「木更津港まつり」では約30万人の人出がある。このポテンシャルを最大限に引き出すプランだ。
 旅客船埠頭は当初よりも規模を縮小するが、水深4mで延長90mを計画。泊地(約2ha)の増深を一部で行う必要がある。また、駅からの旅客船埠頭までの動線に、緑地や交流拠点施設を配置して、賑わいを取り戻す。緑地は約2.5haを整備する計画だ。
 日本経済を支え、かつてあった活気ある市街地を取り戻すため、さまざまな整備計画が進行中だ。ただ、その整備計画も緒に就いたばかりであり、国が全面的に支援する国際戦略バルク港湾の実現だけでなく、立地企業や地元市民が一体となった取り組みが求められる。
木更津港の取扱貨物量の推移
 木更津港は、新日本製鐵の君津製鉄所の操業開始に合わせて、1968(昭和43)年に重要港湾に指定された。その後、東京電力富津火力発電所が立地する富津地区が港湾区域に編入され、今日に至っている。この2社による取扱貨物が大半を占めるのが木更津港の特徴ともいえ、輸入が全体の65%という。
 2010(平成22)年のデータを見ると、輸入貨物は総量4,470万トン。リーマンショックの影響で落ち込んだ2009(平成21)年から100万トンの増加。品目別ではLNG2,127万トン(全体の48%)、鉄鉱石1,567万トン(35%)、石炭731万トン(16%)と、この3品目で99%を占め、新日本製鐵、東京電力の2社に偏重しているのは明らかだ。外国からの貿易船の入港隻数は1,428隻と、前年より28.5%の増加となり、開港以来最高の入港隻数となった。


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