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清水港全景  提供:静岡県

【港湾概要】  
【水域】 1,268ha
【陸域】 487ha
【バース数】 公共70バース、民間37バース
【入港船舶】 9,252隻(2010年、以下はすべて速報値)
【総トン数】 4,380万t(2010年)
【取扱貨物量】 1,606万t(2010年)
【貿易額】 2兆1,240億円(2010年)
 駿河湾の西岸に位置し、三保半島に囲まれた静穏な海域と水域の深さに恵まれた清水港。富士山を借景とした天然の良港として、神戸港、長崎港とともに、日本三大美港のひとつに数えられる。
 京浜港・伊勢湾の2大港湾に挟まれながらも、県内産業と世界を結ぶ、東海エリアの要の港湾である。
 欧米基幹航路の寄港地として、世界各国との定期航路が就航しているが、東南アジア諸港との港間競争の激しさから、より一層の港湾機能の拡充・強化が求められている。
 陸上交通網とのアクセスの良さから今後も需要の増加が見込まれ、単なる港湾機能の拡充だけではなく、港内の景観向上など自然との調和も重視する清水港の取り組みを紹介する。

整備が進む国際海上コンテナターミナル 串状ふ頭を一体化へ
 清水港の東端、興津ふ頭の北側では「新興津ふ頭」として、国際海上コンテナターミナルの整備が進んでいる。2004(平成16)年7月に策定された港湾計画の柱ともいえるプロジェクトで、平成20年代後半を目標に水深15m岸壁(延長350m)を2カ所、水深12m岸壁(延長250m)も2カ所の合計4カ所の連続バースが整備され、整備完了後は、港内のふ頭利用の再編が行われる計画だ。
 清水港に限らず、国内港湾のどこにでも見られる串状に並んだふ頭。このふ頭間を埋め立てて、一体的なふ頭に整備する事業が、新興津ふ頭の整備事業だ。興津地区にある既存2ふ頭をまとめるとともに東側に拡張することで、従来の興津地区の各ふ頭や隣の袖師地区のふ頭で行われていた、コンテナ貨物の横持ちという非効率な荷役・運営が解消される。
 清水港は、発生確率の極めて高い「東海地震」の想定震源域、駿河湾に面している。県庁所在地静岡市を後背地に抱えており、被災時でも地域住民の生活や安全の確保、経済活動の維持のためにも高い防災機能が求められている。そこで、整備中のコンテナターミナルは、港湾物流機能を維持する耐震強化岸壁として、大地震発生時には緊急輸送物資の荷揚げ拠点となる。
 コンテナターミナルの整備工事は既に、C−1バースは完了。現在は、C−1バースの東側でC−2バースの整備が進む。C−1バースに連続するように海上にケーソンを設置する工事が進む。ケーソンを北側護岸につながるように設置して海上を締め切った後、埋立・造成を行い、エプロン幅員55mの岸壁とこれを含む奥行き350mのコンテナヤード整備工事が行われる予定だ。2011年度末までには海上の締め切りが完了する予定だ。
 岸壁整備にあわせ、水深15mに泊地を増深する浚渫工事も進行中。ゆくゆくはC−2バース前面の泊地約9.9ヘクタールにおいても水深15mへの増深工事も行われることになるが、現段階ではスケジュールは未定という。

[写真上左]位置図  [写真]工事の進む新興津地区(提供:静岡県)
[写真下]新興津コンテナターミナルの計画図、最終的な完成予想図(提供:静岡県)
[写真右]清水港のコンテナ貨物量の推移

街並みと調和する色彩計画 機能再配置で賑わい創出
 日の出地区では低未利用ふ頭をベースにした再配置・再開発が完了している。1988年に港湾環境整備事業に着手し、ショッピング・アミューズメントの大型複合施設「エスパルスドリームプラザ」が1999年にオープン、マリンパーク、ヨットハーバーなどの集客施設も2001年ころまでに次々と供用を開始した。近隣県から、土日・祝日を中心に多くの観光客を集めるだけでなく、地元市民の憩いの場にもなっている。
 単なる箱もの整備だけでなく、港内全域では「みなと色彩計画」とよばれる景観への取り組みが進んでいる。世界に誇る美しい港づくりを目指して1992年にスタートした取り組みで、まもなく20周年を迎える。
 学識者や港湾関連事業者、市民などを中心とした「清水港・みなと色彩計画策定委員会」が、港内の各地区を8つのゾーンごとに「色」を決め、地区内に立地する企業が建築物や工作物、設備などを新増改築したり、塗り替えたりする際に、その色に沿った塗装をお願いするというものだ。たとえば、三保地区では「シャープで洗練された」、新興津ふ頭興津・袖師第一ふ頭地区では「シンボリックで躍動感のある」というように、各地区ごとにベースカラーを設定。アクセントカラーとイメージカラーを明示した。
 煙突や工場の屋根、サイロ、タンクの外装などの塗装の際、委員会が決めた色に近い塗装をしてもらうことで、港内の景観に統一感が生まれる。塗り替えなどは10年に一度くらいの長期計画となることから、港内立地企業の協力が得られれば、港内美観の向上につながる狙いだ。
 富士山を借景に、三保の松原などの天然の美しさで知られる清水港。工場や港湾施設などの人工構造物にも、自然になじむバランスのとれた色彩で装ってもらうことで、自然と人工構造物とに調和が図られ、他の物流港にはない美しい景観を創出している。

日の出地区のヨットハーバー
日本平から見た清水港 提供:静岡県

世界と結ばれる特定重要港湾ーーー近県需要も増加
 清水港の日の出地区には駿河湾フェリーの発着場がある。伊豆半島西海岸の土肥港を結ぶ航路が設けられており、静岡県中央と東部をつなぐ重要な海上交通拠点となっている。
 だが、清水港は地域交通としての顔よりも、静岡県を代表して世界各国との交易拠点として知られる。東南アジアや欧米など43港と定期コンテナ船で結ばれ、22航路・週23.5便を数える。2004年以降コンテナ貨物取扱量は50万TEUを超え、2008年秋のリーマンショックで取扱貨物量が一時的に落ち込んだものの、今後も増加が見込まれている。
 それというのも、静岡県は県内工場立地件数が全国で5位の工業地帯であり、その製品出荷額は愛知に次いで全国2位という豊富な潜在貨物量があるからだ。巨大消費地を背後地に抱え、周辺から広く集貨する京浜港や伊勢湾とは性格が異なり、県内全域の産業の製品が、清水港を経由して諸外国に輸出されている。
 さらに、山梨、長野といった近県の工業製品の原料・製品の物流拠点としても機能する。中部横断自動車道や、県内区間は2012年中にも開通の見込まれる新東名高速道路(第2東名)などの高速道路が完成すれば、近県と清水港の陸上アクセスは格段に向上する。外貿拠点としての清水港に求められる機能・役割は従来以上に高まりそうだ。
 こうした地理的性格もあってか、国土交通省が選定作業を進める「国際バルク戦略港湾」に、同じ静岡県の田子の浦港とともに立候補している。清水港は、主に県内、山梨、長野方面への飼料用トウモロコシの供給拠点、また、田子の浦港は、コーンスターチ用トウモロコシの輸入拠点という役割だ。
富士見地区 提供:静岡県
 清水港をファーストポートに穀物類を荷揚げして喫水調整してから、セカンドポートの田子の浦港に寄港してもらう計画で、当面、富士見地区にある公共岸壁を水深14mに増深する計画だ。港内航路も現状水深12mであり、パナマックス級の大型貨物船が普及すると予測される2015年度までに泊地などとともに水深14mに増深する計画となっている。
 世界で進む貨物船舶の大型化によって、国際海上コンテナターミナル整備とバルクターミナルの大型船対応という大規模事業は、地域産業の発展・活性化のために欠かせない。


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