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那覇国際公共コンテナターミナル 提供:那覇港管理組合

港湾概要  
【水域】 約3,200ha
【陸域】 約560ha
【バース数】 岸那覇ふ頭5バース、泊ふ頭8バース、
新港ふ頭18バース、浦添ふ頭7バース
【入港船舶】 7,503隻(2009年)
【取扱貨物量】 1,019万トン(2009年)
【コンテナ貨物】 342万トン(2009年)
【貿易額】 輸出740億円、輸入2,253億円(2008年)
貿易額は沖縄地区税関本関管区内の数値。
 日本本土と中国、台湾などの中継地点に位置する沖縄・那覇港。恵まれた地理的条件を生かし、アジアの貨物を米国や欧州へ仕向ける国際流通港湾への発展が期待されている。2006年1月には日本初のグローバルオペレーターが主導する純民間企業による国際コンテナターミナルの運営を開始し、国際物流拠点への地歩を着実に固めつつある。新たなクルーズ船専用バースが2009年9月に暫定供用するなど、国際クルーズ客船の寄港も順調に伸びている。美しい海と自然に囲まれた那覇港を紹介する。
東アジアと世界を結ぶトランシップ港へ
◇地理的優位性を生かせ◇
 那覇港は琉球王府の貿易拠点として15世紀ころから栄えた。戦後、日本の最南端である沖縄県の玄関口として発展するとともに、外国や日本本土、さらには宮古島や八重山など周辺離島とを結ぶ流通港湾としても重要な役割を果たしてきた。港湾区域は南北約8kmで那覇市と浦添市の行政区域にまたがる。もともと那覇港、泊港、那覇新港がそれぞれ独立していたが、1972(昭和47)年の沖縄の本土復帰を契機に、3港を一元化して那覇港とし、重要港湾に指定された。
 那覇港は那覇ふ頭、泊ふ頭、新港ふ頭、浦添ふ頭の4つのふ頭に分かれ、この4ふ頭で年間1000万トン前後の貨物を取り扱う。内訳は新港ふ頭が約7割、浦添ふ頭、泊ふ頭、那覇ふ頭の3ふ頭で残る3割を担当する。外・内貿でみると、外貿が100万トン前後、内貿900万トン前後。内貿のうち700万トンが移入で、生活物資の移入が多い。「長期スパンでみると、移出・移入が伸びており取扱貨物量は増加傾向にある」(那覇港管理組合)という。

◇4つのふ頭を戦略的に活用◇
 取扱貨物の主力ふ頭となっている新港ふ頭は、旧那覇港・泊港の両港の港湾の取扱能力が限界に達したことを受けて1970年ころから本格的な整備が開始された。現在、東京や阪神、博多などの各定期貨物船、外貿の大型コンテナ貨物船などを中心に利用が行われている。
 那覇ふ頭は旧那覇港の一部で、15世紀に尚巴志王(しょうはしおう)が沖縄本島の当時の三大勢力だった琉球三山(南山、中山、北山)を統一して以来、日本をはじめ諸外国との貿易港として発展してきた。戦後は米軍による整備が行われ、1953(昭和28)年に現在のふ頭部分が琉球政府に移管された。主に九州や先島との航路拠点となり、対岸には軍港がある。
 泊ふ頭は本島北部地域(山原)や本島周辺離島との連絡港として発展。戦後米軍による改修を経て1954(昭和29)年に那覇市に移管された。現在、離島定期船や大型旅客船が発着する交流の場づくりなどが進められている。
 浦添ふ頭は今後予想される貨物量の伸びに対して、砂・砂利、セメント、雑工業品などの内貿貨物を取り扱うふ頭として整備が進められている。海洋性リゾート空間などの計画もある。

那覇港の全景
(提供:那覇港湾・空港整備事務所)
純民間企業による国内初のターミナル運営
 那覇港国際コンテナターミナルは、構造改革特別区域法に基づく「特区制度」を活用し、日本で初めて純民間企業によるターミナル運営を実現した。国際公募で選定された「那覇国際コンテナターミナル株式会社(NICTI)」が2006年1月から新港ふ頭地区の最大実水深−15m、総延長600mの2バース、21haのターミナルの運営を開始している。NICTIはフィリピンに本拠地を置くグローバルターミナルオペレーター「ICTSI」が60%、地元港運事業者6社が40%出資した国際企業。ターミナル利用は経済状況によって波があるものの、中国(上海、香港)や東南アジア(高雄、基隆)、アジア(フィリピン・ダバオ)などの定期就航(週約5.5便)や、今年5月からAPL(米国、オークランドほか)の基幹航路の母船が寄港を再開している。

◇中継拠点港湾の機能拡充を◇
 2003(平成15)年3月に改訂された那覇港の港湾計画では、沖縄振興計画に基づき、アジア・太平洋地域内での地理的優位性を生かした国際海上コンテナ輸送の中継拠点港湾(トランシップ港湾)機能の拡充など国際的水準の港湾サービスの提供、国際クルーズ船基地の強化などが盛り込まれた。さらに、浦添ふ頭北側に国際海洋リゾート港湾となるコスタルリゾート地区の整備や、既存ふ頭の再編と利用転換、臨港交通体系の充実、環境の保全と創出などの実施も掲げている。現在、新たな沖縄振興策の検討の中でも、物流コストの抜本低減が課題とされている。

◇沈埋トンネルに新技術◇
 こうした計画を踏まえ、那覇港の大型工事などを担当する内閣府沖縄総合事務局那覇港湾・空港整備事務所は▽臨港道路(空港線)整備事業▽大型旅客船ターミナル整備事業▽防波堤(浦添第一)整備事業▽臨港道路(浦添線)整備事業などの事業を展開中だ。
 臨港道路(空港線)整備事業は、那覇港背後の幹線道路の慢性的な交通渋滞の解消や那覇港と那覇空港・本島南部との輸送体系の強化を目的に計画された。ルートは若狭ICから那覇ふ頭港湾口を経由して空港ICに至る延長約3.0km。自動車専用道路で車線数は6車線(片側3車線、なお当面暫定片側2車線)。那覇ふ頭港口部は、沖縄初の海底トンネル(那覇沈埋トンネル、延長約724m)が採用された。
 1992(平成4)年に事業が開始され、巨大な箱型の構造物(沈埋函)を海底に沈めてつくる那覇沈埋トンネルには、高度な新技術がいくつか採用された。同トンネルは沈埋函の構造に函体外・内面をすべて鋼板で組み立てた後、鋼板の間にコンクリートを打設して一体化するフルサンドイッチ構造が用いられたが、このコンクリート打設をドライドックではなく、初めて海上に浮かせた状態で実施。約10,000m3の高流動コンクリートを打設した。
 換気塔となる陸上部の立坑と沈埋函(1、8号函)の結合部には可とう継ぎ手(ベローズ継ぎ手)を世界で初めて実用化した。最終沈埋函(7号函)の接合には最終継ぎ手工を省略できる「キーエレメント工法」も採用した。沈埋トンネル部は2009年度に貫通し、換気塔(上部躯体)も概成。現在トンネル設備や内部構築、換気塔外階段・周辺整備工などを工事中で、本年度中には終了する。

◇クルーズ船専用ターミナルを整備◇
 大型旅客船ターミナル整備事業は、クルーズ船専用バースを市街地に近い泊ふ頭地区に新設する。岸壁を耐震強化岸壁(延長340m、−10.0m)とし、災害時の物資などの緊急輸送基地としても活用する。
 バースは若狭海浜公園の沖合に設置。アクセス道路として若狭1号線(延長170m)と若狭2号線(延長365m)を整備し、湾岸沿いを走る臨港道路と接続させる。岸壁本体はジャケット構造形式とし、上部工はプレキャスト化することで大幅な工期短縮を実現した。また、最低限必要な施設(岸壁本体210m、ドルフィン部65m×両端、若狭1号線)だけを先行して整備し、現地着手後わずか1年10カ月という短期間で暫定供用にこぎ着けた。2009年9月の供用開始後も引き続き岸壁背後の港湾施設用地(ジャケット構造)やアクセス道路若狭2号線の橋梁下部工、上部工工事の施工を進めている。
渋滞解消に向け、急ピッチで進む臨港道路整備
◇臨港道路浦添線は一部橋梁構造に◇
 防波堤(浦添第一)整備事業は、港内静穏度の確保のため、整備済みの防波堤(延長1350m)の両端を延伸する。延伸するのは倭口(やまとぐち)側100m、浦添側200mの計300m。2009年度までに倭口側100mの延伸工事は完了しており、本年度は浦添側200m区間の設計や、浦添ふ頭地区内防波堤(北)沖に那覇沈埋トンネルの沈埋函係留に使用したケーソン(7函)を活用したケーソン仮設堤の構築に着手。基礎工の施工を現在進めている。
臨港道路(浦添線)整備事業は、那覇機能の強化や市街地を通る国道58号線などの混雑緩和を目的に、米軍・牧港補給地区キャンプ・キンザーの海側に計画された道路。延長は2.5kmで、車線数は4車線(片側2車線)。
 当初計画では干潟となっている建設地を浦添市都市開発公社が埋め立てた後に、臨港道路の整備(全延長)を行う予定だったが、2008(平成20)年5月の環境影響評価準備書に対する知事意見を受け、北側約1km区間を埋立方式から橋梁方式へと構造変更した。「橋梁のデザインも自然海岸や干潟の保全を図るため、桁高と橋脚も抑えている」(那覇港湾・空港整備事務所)。
 すでに橋梁の詳細設計を終え、現在用地取得、埋立申請などの手続き中だ。それと並行して仮設桟橋・作業構台、橋梁部取付工(埋め立て・橋台)、橋梁下部工などの工事発注手続きも進めている。2014(平成26)年度の事業完了を目指し、国道58号線浦添北道路(地域高規格道路)や県道浦添西原線港川道路、市道牧港線の関連道路と合わせて整備が進められる予定だ。
 沖縄では、那覇空港沖合展開事業(滑走路増設など)も計画されており、人流・物流の強化に向けた動きか加速しつつある。那覇港が地理的な優位性を生かし、東アジアと世界を結ぶトランシップ港になるためにも、各種計画を着実に整備していく必要がありそうだ。

[写真左]那覇沈埋トンネルの換気塔  [写真中]暫定供用したクルーズ船専用ターミナル
[写真右]多くのトレーラーが行き交う新港ふ頭 提供:那覇港管理組合


万国津梁(ばんこくしんりょう)のロマンあふれる交流のみなとまちづくり
台湾の小学生との交流会
 那覇港管理組合は2009(平成21)年8月に那覇ふ頭明治橋際から新港ふ頭小船溜まりまでの那覇港ウォーターフロントの人流ゾーン整備のあり方などを示した「那覇港みなとまちづくりマスタープラン」を策定した。サブタイトルが万国津梁のロマンあふれる交流のみなとまちづくりで、万国津梁は世界を結ぶ架け橋の意味。官民連携による協議会を通じて、各種の情報発信のための施策や観光客との交流のほか、子供たちを対象にした「万国津梁の心」育成支援プロジェクトなどを行っている。具体的にみなとの自然教室やみなとまちあるきマップ作成、台湾との交流文化事業(小・中学生の交流体験クルーズ)などを実施している。


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