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ガーデンふ頭 提供:名古屋港管理組合

【港湾概要】    
港湾区域 約8,194万m2  
臨港地区 約4,213万m2  
係留施設 岸壁・桟橋290バース  係船浮標9バース
入港船舶(2009年) 隻数32,377隻 総トン数2億1,261万トン
総取扱貨物数量(2009年) 1億6,510万トン うち外貿貨物1億843万トン
  内貿貨物5,667万トン
コンテナ貨物(2009年) 外貿3,685万トン 内貿63万トン
貿易額(2009年) 輸出6兆7,665億円 輸入3兆2,109億円
 遠浅で一面に葦が生い茂る海を人工的に改良して、国内屈指の国際貿易港に発展した名古屋港。その道程は「浚渫」と「埋め立て」の繰り返しの歴史であり、まさに「築港」という名にふさわしい港と言える。自動車や工作機械、航空宇宙、鉄鋼、電気など、ものづくり産業が後背地に集積し、総取扱貨物量や貿易黒字額で国内トップを走り続ける名古屋港を紹介する。

浚渫と埋め立てを繰り返した人工港
名古屋港の現況と
埋め立ての推移
 日本のほぼ中央に位置する名古屋港が開港したのは1907(明治40)年。その11年前の1896(明治29)年に名古屋港の前身である熱田港の築港工事が開始されて以来、同港は時代のニーズに合わせ、浚渫と埋め立てを繰り返して、その規模を拡大してきた。
 特に1950年代の経済の急激な発展に伴い、出入貨物量が増加。それに対応するため、港湾整備が急ピッチで進んだ。だが、1959(昭和34)年の伊勢湾台風で港湾施設にも大きな被害が発生。これを教訓に、高潮防波堤など防災強化を意識した港湾施設の整備も行われた。
 1960年代に入り南部、西部臨海工業地帯や金城ふ頭の埋立工事が開始され、港湾区域が一気に拡大。1968(昭和43)年には金城ふ頭にコンテナターミナルを建設し、海上コンテナ輸送時代への対応を図った。

臨港地区の面積は日本最大規模
 現在、臨港地区(陸域)は名古屋市・東海市・知多市・弥富市・飛島村の4市1村にまたがり、その面積は約4,213万m2。東京港と横浜港を合わせた面積よりも広く、日本最大の規模を誇っている。港湾区域(水域)は8,194万m2を有し、総面積は名古屋市のほぼ3分の1に匹敵する。
 港湾管理者は、特別地方公共団体の「名古屋港管理組合」。通常、地方公共団体が港湾管理者となるが、名古屋港は愛知県と名古屋市が整備を進めてきた歴史があるため、1951(昭和26)年に両者を母体とする同組合が「一部事務組合」形式で設置された。こうした組合形式は全国でも珍しい。
 この一元的な管理組織が広域な陸域や水域の管理を可能にし、「全国でも珍しい港湾施設と住居地域が混在しない、港湾機能に特化した港づくりにつながっていった」(名古屋港管理組合)。

機能的配置でものづくり産業を支える
 名古屋港は大別すると「南部エリア」「西部エリア」「内港エリア」の3エリアに分けられる。各エリアはそれぞれ機能分担され、「地盤が比較的に良い南部エリアが鉄鋼やコンビナートなどの産業集積拠点、西部エリアはコンテナなどの物流拠点、内港エリアは地域産業の国内物流や親水エリアになっている」(名古屋港管理組合)。
 南部エリアは新宝ふ頭、東海元浜ふ頭、北浜ふ頭、伊勢湾シーバース、南浜ふ頭、南5区などがあり、民間企業の巨大施設が配置されている。このうち、新宝ふ頭はトヨタ自動車の積出基地。一度に6,000台もの車を積める大型自動車専用船が接岸できる。
 東海元浜ふ頭は1961(昭和36)年に操業が一部開始された新日本製鐵の製鉄所などがある。岸壁は水深13〜14m、総延長990mの原料岸壁と1,473mの製品岸壁が備わり、原料岸壁では大型船が2隻同時に係留でき、大型アンローダーを使い1日当たり最大約8万トンの鉄鉱石や石炭を卸すことが可能だ。
 北浜ふ頭は造船や橋梁、シールド機械など大型構造物の建造基地と、トウモロコシや麦などの穀物基地がある。伊勢湾シーバース(荷役施設)は南北500mの巨大な固定桟橋式洋上基地で、31万重量トン級タンカー2隻が同時係留できる。南浜ふ頭はLNG基地や石油精製施設などがある。

大型コンテナに対応した最新式ターミナル
 西部エリアには木材港や弥富ふ頭、飛島ふ頭、鍋田ふ頭などがある。このうち、弥富ふ頭は窯業原材料の流通センターや鋼材メーカー、航空機器製造工場などが立地。公共岸壁は三菱自動車などの完成自動車の輸出拠点となっている。
 飛島ふ頭は港内最大の物流拠点。東側と南側にコンテナターミナルを擁し、このうち飛島ふ頭南側コンテナターミナルは、「スーパー中枢港湾」のモデルバースとして次世代高規格コンテナターミナルが整備されている。
 第1バースは2005年12月に、第2バースは2008年12月にそれぞれ供用を開始。超大型コンテナ船に対応するため、水深16m、総延長750mの耐震強化岸壁、22列対応の超大型ガントリークレーンなどのほか、24時間フルオープンを支える世界初の遠隔自動RTG(ラバータイヤ式ガントリークレーン)が導入されている。ガントリークレーンとヤード間を往復する自動搬送台車(AGV)も採用され、荷役作業を効率化している。
 内港エリアはガーデンふ頭、大江ふ頭、昭和ふ頭、船見ふ頭、潮凪ふ頭、空見ふ頭、潮見ふ頭、金城ふ頭などがある。どのふ頭も同港の発展を支えたふ頭で、いまは商業機能や交流拠点などに変化しているふ頭もある。開港以来の主要外国貿易施設(旧中央・東・西の3ふ頭)のあったガーデンふ頭は、市民に「親しまれる港づくり」の拠点地区として再開発が進み、名古屋港水族館や海洋博物館、遊園地となるシートレインランドなどが整備されている。金城ふ頭には来春、JR東海博物館のオープンが予定されており、新たな市民の憩いの場がまた一つ誕生する。

自動車の積出基地となっている新宝ふ頭
提供:名古屋港管理組合
飛島ふ頭南側コンテナターミナル
提供:名古屋港管理組合

鍋田ふ頭第3バースは11年度に完成
 時代のニーズに合わせ、変貌し続ける名古屋港の進化はまだまだ続く。名古屋港管理組合では「国際競争力・産業競争力の強化と港湾物流の環境変化に対応した港」「港湾の安全確保と大規模災害にも対応できる地域防災を目指した港」「環境に優しく、親しまれる港」の3項目を整備目標に掲げ、各種事業を進めている。
 鍋田ふ頭では昨年度に第3バースの整備に着手。2011年度の供用開始を目指し、耐震強化岸壁を整備中だ。同時に進入道路の改良や泊地も整備する。第3バース完成後は第1、第2を合わせ、年間100万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)の取扱量を目指す。一方、飛島ふ頭の南側コンテナターミナルでは完全自動化に向け、第2バースに続き、第1バースでも民間事業者によって自動化の整備が進められている。
 航路整備も進む。東航路は現在水深15m、幅員500mだが、これを水深16m、幅員580mに増深、拡幅する。「現航路幅では航行管制でコンテナ船ではおよそ船長250mを越える船舶は片側通行になるため、幅員を580mにすることで出入港規制を緩和させるのが狙いだ」(名古屋港管理組合)。ちなみに対面航行の規制は船長270mになる見込み。航路拡幅は2010年度末、水深16m化は2014年度末の完成を予定している。
 防災・環境対策では堀川口防潮水門ポンプ所整備や大手ふ頭(南)護岸補強、金城ふ頭の緑地整備などが進められているほか、庄内川から流入する土砂が泊地に堆積するため、毎年30万m3の浚渫工事も行っている。
 名古屋港は、遠浅で一級河川が流れ込むという地形的なハンディを、海洋土木技術を駆使しながらこれまで克服してきた。その港湾整備という手綱は、中部圏の生活や産業のさらなる発展のためにも緩める訳にはいかない。

鍋田ふ頭
提供:名古屋港管理組合
自動搬送台車(AGV)
提供:名古屋港管理組合


国内の取扱貨物量と貿易額の推移
 世界の約150の国・地域と結ばれている名古屋港は、後背地にものづくり産業が集積していることなどもあり、総取扱貨物量が8年連続で日本一となっている。貿易黒字額も3兆5,566億円(2009年)で12年連続の日本一。政府の国家戦略の一環として進める国際コンテナ戦略港湾の選定にはもれたものの、「ものづくり中部」の物流を支える総合的な港湾施設としての役割は今後も変わらない。


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