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東京港全景提供:東京都港湾局

【港湾概要】
【水域】約5,292ha
【陸域】約1,033ha
【バース数(公共、民間含む)】225バース(うちコンテナ12バース)
【入港船舶】3万244隻(うち外航船6,071隻)
【総トン数】1億6,882万t
【取扱貨物量】8,136万t(うち外貨4,512万t)
【貿易額】13兆3,784億円
※いずれも2008年時点(出所は東京都港湾局の東京港勢)
 国際貿易港としての開港から来年5月で70年となる東京港。外貿コンテナ貨物取扱個数は12年連続で国内トップとなりそうだが、船舶の大型化という世界的潮流の中、国際基幹航路の寄港地維持へ、設備スペックの向上は今後も欠かせられない状況にある。貨物量増加への対応や、急成長している東アジア諸港との国際競争の激化といった諸課題もあり、施設の再編や増強、効率化などに力を注ぐ。さらには、近隣の川崎、横浜両港と「京浜3港連携」を結び、国内集貨の増加を当面の目標に、成長への新たな一歩を踏み出した。
コンテナ貨物取扱国内トップ
 コンテナ貨物取扱が国内トップというわが国を代表する物流拠点の東京港だが、国際貿易港としての歴史は比較的浅い。1923(大正12)年9月に発生した関東大震災で陸上交通網が崩壊し、港湾施設の重要性が再認識されたのが近代港湾への歩みのスタートだ。日の出、芝浦、竹芝の各ふ頭が完成し、1941(昭和16)年5月20日に、国際貿易港として開港した。
 荒川河口から多摩川河口までを区域とする河川港という位置付けで、人口約4000万人もの巨大消費地に近い上、鉄道、道路など発達した陸上交通網との交通結節点でもあったことから、広域輸送ターミナルとしての性格も併せ持つ。都市の発展に合わせて拡張し、1908(明治39)年の隅田川口改良工事から2008年1月までの間に、約5,730haの埋め立て地が造成されている。東京23区内で2番目に大きい世田谷区の面積に匹敵し、港湾の拡張の過程で土地の用途転換も実施。東京港のほぼ中央には、年間4000万人以上が訪れる臨海副都心があり、物流機能だけでなく住宅・商業・オフィスゾーンなどを含む、複合的な都市機能をもった港ともいえる。
 もともと首都直近の港だけに商業港という色彩が濃く、取扱貨物の半数以上が生活関連品だ。2番目に多いのは街づくり関連資材(鋼材や建材)だが、2割にも満たず、生活関連品が圧倒的に多い。こうした産品は国内外の港から運び込まれ、輸出・移出と比べると、輸入・移入の方がやや多い。外国貿易に限定すれば3対2の割合で輸入が多く、国内貨物だと、移入は移出の2倍となっている。
首都直近の広域輸送ターミナルを生かせ
中防外側に新埠頭を整備
 取扱貨物は国内貨物を除けば、コンテナが主流で95%を占める。大井と青海の2つのふ頭を主力に外国貨物(外貨)コンテナをさばき、国内貨物は品川や10号その2などのふ頭で対応している。取扱貨物量の増加に伴い、いずれも背後のヤードが手狭になっており、品川ふ頭では再編を、中央防波堤(中防)内側では新たに内貿ユニットロードふ頭の整備を進める。併せて、外貨は新たなふ頭を中防外側に建設中だ。
 新ふ頭は中防外側地区の西側に4つのバースを新設する計画だ。現在、建設が進んでいるのはC−1とC−2で、完成予定は2013年度。C−1背後のヤードは約10ha、C−2背後のヤードは約20haと広大で、増加するコンテナ貨物に対応する。C−1の水深は-11mだが、C−2は国内最深級の-16m。事業着手時期未定のC−3とC−4はさらに深く、-16.5mで計画されている。
 東京港内ではこれまで-15mが最も深く、国内でも-16mの岸壁を供用している港は少ない。既存の大井、青海の両ふ頭も今後、現在の-15mから-16mへ増深することが計画されており、これらふ頭の増深に合わせて第一航路も現在の-15mから-16.5mに増深される。

船舶の大型化は世界的な潮流
 こうしたハード整備が急ピッチで行われるのも、世界的な港湾間競争が背景にある。コンテナ貨物は世界同時不況までは世界的に輸送量の増加傾向が続き、取扱量の増加に伴って船舶が大型化している。2015年にパナマ運河が拡張されると、1万2000TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)搭載の超大型コンテナ船の航行が可能となる。国交省の資料によれば、1万TEU型以上の超大型船の就航は2006年度には126隻程度だったが、2011年度には351隻が就航する見込みで、船舶の大型化は世界的な潮流となっている。東京港が国際基幹航路の寄港地であり続けるには、この「ポスト・パナマックス船」に対応できる体制を整えておかなければならない。
 現在主流のパナマックス船は搭載能力が4500TEU程度。船長にして約300mだが、1万2000TEU搭載の貨物船は船長366m。満載時の喫水は15mで、岸壁水深は-16.5mとなる。
避けられないポスト・パナマックス船対応
[写真左]臨海副都心全景 [写真中]青海コンテナふ頭  [写真右]大井コンテナふ頭  提供:東京都港湾局

旧ドライドックを「オフドック」に
 また、増加するコンテナ貨物を効率よくさばくため、大井ふ頭と城南島(大井ふ頭その2)との間にある旧ドライドックを埋め立て、新たな土地を造成する計画も進行中だ。新たに発生するのは約20haという面積だが、今のところ、空コンテナ置き場やふ頭内に出入りする陸上トラックのシャーシ置場、車両待機場といった「オフドック」としての利用が検討されている。東京港内では大規模な土地拡張が困難なため、オフドックとして利用できれば、大井ふ頭における自動車渋滞緩和という効果も生み出すことになる。
 埋立・造成し、土地を拡張する過程で、これまでにも現有施設を再編し、機能を向上させてきた。2004年には大井ふ頭を再整備。それまであった8バースを7バースに再編して大型化対応を図るとともに増深も行った。竹芝ふ頭では商業施設などが入る再開発ビルも建設している。現在は、品川ふ頭の再編中で、ユニットロードターミナルとして機能アップを進めている。国内貨物を効率良くさばくため、増深と駐車スペースの拡張を進める一方、耐震強化岸壁の整備も実施中だ。
国内集貨増やし競争力アップへ
建設中の東京港臨海大橋(仮称)

陸上交通(臨港道路)の混雑緩和も急務
 大型船舶の接岸対応だけでなく、陸上交通(臨港道路)の混雑緩和に向けた取り組みも進んでいる。東京港内の各道路や、港内外のアクセス道路は現在でも交通渋滞が激しい。そこで、新木場・若洲線を2010年度までに完成させるほか、バイパス機能が期待される東京港臨海道路(2期)も2011年度の完成を目指して工事中だ。
 さらに、限界状態に近い第2航路海底トンネルの渋滞緩和を図るため、10号地その2ふ頭と中防内側間の第2航路を横断する「臨港道路南北線」を、港湾計画に追加した。往復4車線延長約1kmの新規路線で事業実施時期は未定だが、東京港では中国貨物が復調してきており、一刻も早い整備が望まれている。

京浜3港連携を実現
 東京港が今後も国際港として発展していくためには、神戸や名古屋など国内の他の国際貿易港と同様に、アジア諸港に負けない競争力を持つことが喫緊の課題だ。取扱コンテナ貨物量は今後も増加していくのは確実だが、釜山、上海、香港、シンガポールなどアジア諸港の取扱量の増加量の方がはるかに大きく、相対的に見るとシェアは低下傾向にある。実際、07年までの5年間で全国際基幹航路における割合は17.9%から13.8%に低下している。近い将来、基幹航路寄港地から外れ、直行便のないフィーダー港になる恐れすらある。
 取扱量の伸びの鈍化は、国内地方港を出た貨物船がコストの安いアジア諸港でトランシップ(積み替え)するケースの増加が一因で、まずはこうした海外流出を防ぐことが必要だ。そこで川崎、横浜と「京浜3港」が連携。国際競争力のアップに協力して取り組むことにした。
 東京・横浜間は20kmしか離れておらず、国際的には1港として数えられるような近距離にある。商業港の東京港に対して、工業港の川崎、商工業港の横浜港と、京浜3港は性格が異なっており、1つの港のようなものだ。従来別々に徴収していた入港料も、3港内では一本化した。さらに京浜3港は物流サービス水準向上のため、2009年夏に八戸港(青森県)と協定を締結。内航船の入港料の相互減免など国内輸送網の充実を約束した。当面の目標である国内集貨の増加に役立てる。

背後地にある巨大消費地を生かした整備
 東京港は1951年に特定重要港湾に指定され、1967年には世界的なコンテナリゼーションに対応するため、品川ふ頭が神戸港摩耶ふ頭とともに日本初のコンテナターミナルとして運用を開始。1975年には国内最大級の連続8バースにわたるコンテナターミナルを持つ大井コンテナふ頭が完成するなど、国内トップクラスの基盤整備が優先的に行われてきた。
 1998年には外国貿易コンテナ取扱個数が全国トップになり、東日本最大級の港として日本の港湾物流の中心的な役割を担っている。さらに2004年7月には横浜港とともに「京浜港」として、スーパー中枢港湾の指定を受け、国際競争力の強化に向けた取り組みが行われている。巨大消費地直近の広域輸送ターミナルのメリットの追求はまだまだ途上ともいえそうだ。


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