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耐震強化・増深が進むポートアイランド 写真提供はすべて神戸市

 世界有数の貿易港として名を馳せた神戸港。1995年に発生した阪神・淡路大震災での壊滅的な被災から見事復旧したものの、シンガポールや釜山、上海、香港といった近隣諸港の急激な成長に伴って相対的な地位低下が著しい。
 震災から15年を迎え、このシェアの減少傾向に歯止めをかけ、厳しい港湾間の世界的な生存競争を生き残り、基幹航路の寄港地存続へ、巻き返しを図る神戸港の姿を紹介する。

【港湾概要神戸港】
【水域】約9,203ha(2009年)
【臨海地区】約2,078ha(2009年)
【合計】1万1,281ha(2009年)
【バース数(公共、民間含む)】224バース(公共172、民間52)(2009年1月)
【入港船舶】
  船舶数  4万3,787隻(外国航路8,342隻、内国航路3万5,445隻)
  総トン数 1億9,475万総トン数(外国航路1億4,003万総トン数内国航路5,471万総トン数)(2007年)
【総取扱貨物量】9,619万トン(2007年)
【貿易額】9兆1,804億円(2008年)

「内航フィーダーを取り戻せ」

2018年までに300万TEUへ
 神戸港を管理する神戸市は重点的に取り組む課題として、▽内航フィーダー(外船コンテナ二次輸送)の獲得▽家電メーカーなど貨物創出企業の誘致▽中国貨物の獲得の3つを掲げる。数値的に示すと、年間のコンテナ取扱個数を2018年までに300万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)に引き上げるのが目標となる。2008年実績の約250万TEUから、約50万TEUの上積みだ。
 神戸港は近隣の釜山など東アジア諸港を利用する国内のコンテナ貨物を呼び込むというこの目標に向けて、2004年7月に大阪港とともに国からスーパー中枢港湾「阪神港」としての指定を受け、ハード、ソフト両面で整備が進められている。
 そもそも、瀬戸内海などにある国内の中小の近隣港を出たコンテナの多くは現在、釜山などで積み替えられ、外国航路に乗る。かつては皆、神戸港で積み替えていたが、阪神・淡路大震災をきっかけとした港湾機能の一時的な低下の間に、コストも安い釜山港に奪われてしまった。神戸港の相対的地位低下の一因にもなっている。
 そこで、神戸港ではフィーダー貨物を釜山港から取り戻す作戦に乗り出した。輸送コストの競争力を高めるため、陸運と海運を効率的に組み合せたモーダルシフト補助制度の創設や高速道路料金の引き下げといった社会実験も併用し、瀬戸内諸港の貨物集積を目指す。さらに、東アジア諸港の急激な成長の一因に、低コストやソフト面の充実があったため、神戸港もリードタイムの短縮、24時間フルオープン化、港湾コストの3割低減といった施策を打ち出した。既に実施中の段階にあり、神戸港にフィーダー貨物を取り戻す環境は整ったといえそうだ。

「基幹航路の寄港地存続へ」

船舶の大型化に対応
 現在、国際海運の主流である長距離国際コンテナ航路(基幹航路)は、投入コンテナ船の大型化で年々世界的に寄港地が絞り込まれる傾向にある。航路浚渫や岸壁整備といったハードインフラが、船舶の大型化に追いついていけないためだ。基幹航路の寄港地として世界的な港湾間競争に生き残っていくためにも、次世代を見据えたハード整備は不可欠といえる。
 神戸港の場合、スーパー中枢港湾に指定されたことで、次世代高規格コンテナターミナルとして、総延長約3000mの岸壁や約100haの埠頭用地が位置付けられた。あわせて、大規模な地震でも港湾機能が損なわれない耐震強化岸壁の整備も行われ、国際競争力の強化が図られることになった。

「整備が進む次世代高規格コンテナターミナル」

ポートアイランド地区 六甲アイランド地区  

大水深化と耐震強化
 工事内容を大別すると、大水深化と耐震強化に集約できる。現在、ポートアイランド2期地区では、耐震強化岸壁としてPC18(ポートアイランドコンテナバース、水深-16m)の整備が進められている。2006年度に着工され、2009年度中の供用開始を予定している。スーパー中枢港湾の指定を受けたこの次世代高規格コンテナターミナルは、神戸港初の-16m岸壁となる。世界の港を見渡しても-16m〜-18mという水深を持つ岸壁は少なく、船舶の大型化という潮流の中で、一歩先んじた格好だ。
 2010年度前半のヤード供用後は、北米向けなど外国航路の就航が期待されるとともに、神戸港の相対的地位向上につながるかもしれない。近隣のPC14〜PC17では耐震強化岸壁への改良工事が予定されている。このうちPC16、17については、現在の-15mの水深を-16mに増深する工事も行われることになる。
 また、PC18につながる第三航路(神戸中央航路、幅員500m)も-16mへの増深工事が開始された。PC18前面泊地とともに、その浚渫土は神戸空港地区の埋立に利用されている。
 ポートアイランドの東側には、新たな人工島の計画もある。フェニックス(神戸沖埋立処分場)周辺エリアは港湾計画上では「六甲アイランド南地区」に位置付けられ、大規模な土地が造成されることになっているが、現在、海上からはフェニックスの護岸など、ごく一部しか見ることができない。港湾機能強化に必要な施設も、姿が現れるようになるのは当分先になりそうだ。
 かつての神戸港の3割を占めたトランシップ貨物の完全復活は難しいかもしれないが、こうした取り組みが奏功して50万TEUの上積みが実現でき、年間300万TEUという目標が達成されれば、国内コンテナ貨物の海の玄関口としてのより一層の地位向上が見込まれる。

「沖合に広がる機能の中心」

[写真左]スーパー中枢港湾を目指す神戸港。手前は神戸空港 [写真右]メリケンパークの夜景

市民に親しまれる港へ
 近代以降の神戸港は、機能強化に合わせて、中心エリアを絶えず移動させている。1868年の開港時から明治・大正期までの神戸港は、「新港地区」と呼ばれる場所に、くし形の堤防が4本並ぶように海岸から沖に伸びていた。そこに諸外国とを結ぶ船舶が離着岸した、わが国を代表する海の玄関口となっていた。
 終戦後、新港地区東側に「摩耶ふ頭地区」ができ神戸港の中心となり、1967年にはコンテナターミナルが整備されるなど、高度成長を支える巨大物流拠点の一翼を担った。その後、新港地区の沖合に埋立・造成された「ポートアイランド地区」に港湾機能の中心が移り、さらに、ポートアイランド地区の東側に埋立・造成された「六甲アイランド地区」が神戸港のメーンになる。
 1995年に発生した阪神・淡路大震災では摩耶埠頭地区にあった耐震強化岸壁が一躍有名に。被災を免れた岸壁はほかにもあったが、復興・復旧に活躍した岸壁として摩耶埠頭が大いに脚光を浴びた。
 今後の神戸港の中心エリアはポートアイランド地区の南に位置する「ポートアイランド2期地区」と、フェニックス周辺に計画されている「六甲アイランド南地区」になることが見込まれている。
 港湾施設が相次いで沖合に移転することは、港内施設の新陳代謝を促し、街全体の賑わいに貢献している。新港地区の一番西側に位置する「第一突堤」は再開発構想があり、事業のスタートを待っている状態だ。第4突堤の東側にあった「新港東地区」や「摩耶埠頭地区」は阪神・淡路大震災をきっかけに、串の間を埋めるように再構築され、埋め立て地が造成された。
 新港地区の第4突堤上には新交通ポートライナーが走り、同市中心部と神戸空港を結ぶ。新港地区西側にあった中突堤は「メリケンパーク」という名称で商業・複合施設の集積が進み、さらにその西側にあった港湾施設群も「ハーバーランド地区」として、若者や観光客が集まる新たな観光スポットに生まれ変わった。

コンテナ取扱数世界ランキングの推移
 世界のコンテナ貨物量は増大傾向が続いている。中でも東南アジアにおける貨物量の伸びは大きく、2005年にはシェアが全世界の半分を占めた。これに応じて東南アジア諸港のコンテナ貨物取扱量も大きく増えたが、逆に神戸港は減少。ランキングも大きく下げているのが現状だ。


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