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東港全景提供:国土交通省北陸地方整備局

 平野の中心にありながら河川港である「西港」と、海岸から陸地を開削して新設した掘込港の「東港」という二つの姿を持つ「新潟港」。日本海側で最初の特定重要港湾に指定され、取扱貨物量は国際競争が激しくなる現在でも増加傾向にあり、成長し続ける。江戸末期の「開港5港」の一つだった新潟港の開港は、悪条件が重なり他の4港に遅れること10年。ことし1月に、開港140周年を迎え、さらなる飛躍を目指している現況をお伝えする。

新潟港の概要
【港湾区域面積】8560ha(2002年)
【臨港地区面積】78ha(2002年)
【バース数(公共、民間含む)】
78バース(西38,東40)(2008年)
【入港船舶】
1万7863隻(西港1万4943隻、東港2920隻)、
4811万総トン数(西港2884万総トン数、東港1927万総トン数)
【取扱貨物量】3300万トン(2007年)
【貿易額】4592億円(2005年)

日本海側初の特定重要港湾
厳しい自然環境を克服
 新潟港の歴史は困難の連続だった。市内では戦後、天然ガスの採掘を原因に、地盤沈下が深刻な問題になっていた。この影響で海岸決壊が進み新潟港の周辺地域でも砂浜の後退や海岸部の崩落、岸壁の浸水など多くの被害を受けた。新潟港はもともと信濃川の河口付近に設けられた河川港で、後背地に新潟市中心部が迫るという立地条件がデメリットにもなった。
 高度成長に伴って急速に発展すると、入港隻数や取扱貨物量の増加に伴い、港湾施設が手狭になったほか、河口港のために大型船舶の入港に支障が生じるようになった。
 そこで、工業港としての機能拡充を目的に、約15km東方の新潟市北部の海岸を開削して、新港(東港)を整備する計画が持ち上がり、1963年に着工した。その直後、1964年6月16日に発生した新潟地震で、港湾施設は大打撃を受けたが、復旧後は施設の拡充や対岸貿易の進展によって発展を遂げたことから、1967年6月1日に、日本海側初の特定重要港湾の指定を受けた。1969年11月19日に新港「東港」が開港すると、従来あった新潟港は「新潟西港」と称されるようになった。
◆高まる観光ニーズ・西港◆
 東西二つの港は、「人の交流」を中心とした西港と、「物流」を中心とした東港とに、機能を分けて運用されている。このうち、西港の公共埠頭には北海道や福井・敦賀などと結ぶ長距離フェリーが就航するほか、佐渡とのフェリーも 発着する。民間企業所有の埠頭や漁港としての機能もあり、多様な役割を担っている。西港のほぼ中心部にあたる万代島地区には2003年に国際会議室・展示場、オフィスなどを備えた複合一体型コンベンション施設 「朱鷺(とき)メッセ」がオープン。西港のシンボリックな存在となっている。
 新潟市の中心街が後背地というだけあって、近年では水上バス、イベントクルーズ船の運航など、観光機能のウエートが高まっている。そこで、新潟県では、港湾区域内にある信濃川左岸地区では歴史的港湾施設の保存や緑地の整備を進めるとともに、港内に散在する小型船を集約するための施設整備を計画中だ。
 港湾施設・機能を拡張するには市街地近接という立地条件がデメリットになる。新潟県では河口の西側の海岸を埋め立て、新たな土地を生み出そうとしている。護岸堤の構築は既に終わり、2007年度から埋立工事が始まった。港湾機能を維持するには、信濃川上流からの土砂を定期的に浚渫しなければならず、埋立事業にこの浚渫土砂の一部が活用されている。ただ、財政がひっ迫する中、事業予算の確保は難しく、埋立事業の進捗率は20%程度にとどまっている。完成時期だけでなく、埋立地の利用方法も未定だという。

[写真左]河口付近の西港 提供:国土交通省北陸地方整備局 [図左]新潟港・西港
[写真右]日本海側から見る東港 提供:新潟県 [図左]新潟港・東港

広域物流拠点に成長
◆新バース整備に着手・東港◆
 1969年に開港した東港は、重厚長大産業型の企業立地を目指した工場地帯の中心部に立地する。敷地の多くは工業団地として開発され、地の利からほぼ完売。化学、食品、機械、精密など、多岐にわたる業種が製造拠点や出先事務所などを設けている。東北電力の東新潟火力発電所もある。液化天然ガス(LNG)バース、ガントリークレーンなど港湾施設や交通網が整備され周辺地域の工業団地も開発が進むにつれ、徐々に発展。工業港・商港としての体裁を整え、現在は物流拠点としての役割が大きい。
 1995年6月に全国8港のうち日本海側では唯一となる中核国際港湾に指定され、1996年3月には新潟県地域輸入促進計画(新潟FAZ計画)が国の承認を受けると、国際貿易港としての機能整備が進む。現在は外貿コンテナ取扱個数が国内10位(2006年)となるなど、本州日本海側随一の広域国際物流拠点として機能している。
 後背地に高速道路網が整備されており、国内の物流で効率が高いメリットを持つ。日中韓台露を直接結ぶダイレクト航路に加え、韓国・釜山港からのトランジット便も数多く新潟港を利用する。このため、新潟港のコンテナ取り扱い数は全国平均を大きく上回り、国内他港が伸び悩む中でも、新潟港は順調に発展。日本海側最大のコンテナ取扱港として、2005、2006年度は国内10位の港となった。
 コンテナ船の多くが利用する東港では、近年需要が増加している貨物船をさばくため、2009年度、新たなバース整備に着手した。現在国際貿易ターミナルにある西1・2号と西3号の2つのバースでは、能力が不足するため、船舶が定刻通りに着岸できない「沖待ち」が2004年34隻、2005年57隻、2006年69隻と年々増加。2008年には96隻が沖待ちした。
◆沖待ち解消に期待◆
東港・国際貿易ターミナル
提供:国土交通省北陸地方整備局
 こうした海上渋滞を解消するため、従来西3号バースの隣に計画され未整備だった西4号が具体化することになり、当初計画で延長500mのうち、暫定で250m分の工事が本年度始まった。水深は西3号と同じマイナス12mとなる。
 合わせて、バース増設後の取扱量アップに備え、約5.2haのヤード整備もスタートした。バース、ヤードとも2012年度中の完成を目指しており、沖待ちの解消に期待がかかるほか、北米など新たな航路就航も期待できそうだ。
 仮に北米航路が就航すると、既存バースとともに水深をマイナス14mに増深する事業もスタートすることになる。これとは別に、ヤードの全体計画面積は20.2haある。西4号バースの未着手分の延長250mとともに、これらの整備事業の具体化は、今後の経済状況・貨物取扱量の増加状況にゆだねられる。
 このほか、東港では網代浜(あじろはま)地区にある漁船・プレジャーボート用のマリーナが手狭になったことから、やや西方の南浜地区に、漁船・プレジャーボート用の港湾施設を新たに整備する計画だ。現在、日本海沖側に防波堤を建設している。

全国平均を上回るコンテナ取扱量の伸び
 重厚長大産業の工業地帯の中心部に新設された東港は現在、10万トン級タンカーが入港する日本海側最大のエネルギー供給基地となっているほか、環日本海経済圏の国際物流拠点を目指した「国際コンテナ埠頭」も備える。また西ふ頭は、日本海側唯一の国際海上貿易ターミナルとして北東アジア地域における物流拠点を目指し、コンテナターミナル全体が指定保税地域に指定され活発な貿易を支えている。
 ここ数年は景気減速を受けてやや横ばい気味だが、新潟港のコンテナ取扱量は1995年以降、右肩上がりの状態が続いている=図参照。1995年を基準年とした場合、2008年のコンテナ貨物取扱量は全国平均1.5倍程度の伸びに対して、新潟港は4.5倍以上。ここ数年は毎年、年間15万TEUを取り扱っている。
 貨物取扱量が年間15万TEUあるのは、日本海側では新潟港だけで、秋田や伏木富山港など他港を10万TEU近く引き離している。
 輸出貨物(実入りコンテナ)の取扱量も大きく伸びており、2008年は2003年比1.6倍の2.6万TEUをさばいた。輸入貨物は1.2倍増の7.8万TEUを取り扱っているが、国内他港の多くと同じように、輸入量に対して輸出量が少ないという課題を抱えている。このため、外貨コンテナの帰りを「空き箱」にしないとともに、コンテナ増加に対応するヤード拡張が今後の課題のようだ。
(注)TEUはコンテナ船の積載能力を示す単位。1TEUは20フィートコンテナ1個分を指す。

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