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潜水士による海中での溶接作業[写真提供:(株)渋谷潜水工業] |
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3つの潜水法の長所と短所 |
19世紀に実用化されたヘルメット潜水は、1857(安政4)年に日本にもたらされ、以後、150年にわたって使われ続けてきた。重さ60kgにも達する潜水服とヘルメットを着用し、海上のコンプレッサーからホースでヘルメット内に空気を送り込むものだ。潜水服内に空気を貯留しその浮力で重量物を扱うことができる、送気が止まった場合でも潜水服内の空気を利用して救助を待つことができる、寒冷水域での潜水にも対応できるなどの長所から、現在も産業分野で活用されている。一方で、他の潜水法に比べると機動性が悪いことなどの欠点もある。 一方でスクーバ潜水は、空気ボンベや圧力調整器(レギュレーター)、マスクなどを用いた近代的な自給気式潜水となる。その長所は、呼吸用の空気を潜水士が携行するため、ヘルメット式に比べ行動範囲が限定されず機動性が高いことである。その代わり、携行する空気の量によって潜水時間が制限されるという欠点がある。 ヘルメット潜水は長時間の潜水が可能だが機動性が制約され、一方、スクーバ潜水は機動性は確保されるが潜水時間が制限される。フーカー潜水はこの2つの短所を克服し、長所を組み合わせた潜水法だ。スクーバのボンベの代わりにコンプレッサーに繋がったホースの末端に取り付けられたレギュレーターから空気が供給される。消費する空気量はヘルメット式に比べると2分の1から3分の1以下であり、小型軽量のコンプレッサーの使用が可能で、これが機動性を高めている。 |
人はどこまで深く潜れるか? |
それでは潜水では、実際のところどれくらいの深さまで潜ることができるのか?。成人の場合、水深5m程度であれば比較的容易に潜水することができる。また専門的な訓練を十分に受けることで、20〜30mほどの深さまでは、素潜りが可能である。さらに、競技性の高い素潜りであるフリーダイビングでは、100m以上の深さまで潜ることが可能である。1976年、フランスのフリーダイバーであるジャック・マイヨールは、人類で初めて素潜りで100mに至る記録を達成した。さらにその後、フリーダイビングの潜水記録は次々と更新され、現在の最高記録は、オーストリアのハーバート・ニッチの深さ214mである。 一方で、潜水器を使った潜水では、フリーダイビングの記録の驚異的な深さに比べると意外に浅い。スクーバでは、アマチュアダイバーの場合最大で40mほどであり、テクニカルダイビングでは100mほどの深さまでとなる。ヘルメット式をはじめとした海上から空気を送る送気式潜水では、一般的には最大で60〜70mほどの深さまで。ただし海底油田の開発など特殊な場合には、送気式潜水でも100m以上の深さまで潜ることが可能であるという。 |
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[写真左]海洋学校における潜水実習の様子[写真提供:茨城県立海洋高等学校] [写真右]建設機械「水中バックホウ」を操作する潜水士[写真提供:(株)渋谷潜水工業] |
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