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品川ふ頭(東京)のコンテナターミナル[写真提供:東京都港湾局] |
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1人のアイデアがコンテナを産んだ |
このように、物流においてたいへんメリットの大きなコンテナだが、その歴史は意外に新しい。船舶用のコンテナを発明したのは、アメリカ人であるマルコム・マクリーンと言われている。ニュージャージーのトラック運転手であったマクリーンは、1930年代に現代のコンテナ輸送のさきがけとなるアイデアを考え出した。当時、貨物船の荷役は基本的に陸仲士や沖仲士と呼ばれる港湾労働者たちによる人力が主であり、クレーンなどは補助的にしか使われていなかった。このため港に到着しても、荷役を待つ船の数が多く、たいへん効率の悪いものであった。また船舶や倉庫などからの「荷抜き」の頻発も深刻な問題であった。 トラック運転手であったマクリーンは、こうした荷役の現状に接する中で、「トラックごと船に積み、目的地の港でトラックを下ろして、そのまま輸送することができないか?」と考えていた。そして1950年代後半、陸運会社を経営していたマクリーンは、中古の貨物船を購入して、このアイデアを実現させた。トレーラーをそのまま、船倉に乗り入れさせる貨物船である。しかし、これではトレーラーの運転席の分だけ無駄なスペースとなってしまう。そこでマクリーンは、トレーラーの運転席や車台と荷物を積み込む部分を分離させ、その分離した荷物を積む部分を「コンテナ」として規格化したのである。 こうして海上輸送のコンテナ化により、船に積んだコンテナを目的地の港で下ろし、規格化された車台のトレーラーで運ぶ、海陸一貫輸送が実現。2000年以降は、全世界の1年間の船舶輸送のうち、9割以上がコンテナ化されており、輸送に用いられるコンテナの数は2億個以上と言われる。 |
標準化対応という日本の課題 |
コンテナ輸送の最大のポイントは、コンテナとそれを輸送するトレーラーの車台等の「規格化」である。 現在、世界で最も一般的な貨物コンテナは、その大きさなどの規格がISOによって統一され、「国際海上貨物用コンテナ(Shipping containersまたはIsotainers)と呼ばれている。長さは主に20フィートと40フィートの2種類。幅は8フィート、高さは8フィート6インチとなり、高さが9フィート6インチのハイ・キューブ・コンテナも普及している。 一方で日本国内では、道路上の輸送事情や輸送単位などにより、旧国鉄時代から採用している鉄道輸送用・日本独自規格の12フィートコンテナが、コンテナ輸送の主流となってきた。しかし近年、グローバル化の影響もあり、多くの運輸関係企業でISO規格コンテナに合わせたトレーラーや貨車の車台への転換が迫られた。同様に異なった大きさが多種混在していた貨物用パレットも、ISO規格コンテナに合うサイズが国際的なスタンダードになっており、国内の独自規格が中心であった日本の運輸業界では、こうした国際標準への転換が大きな課題となっている。 |
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[写真左]2006年、横浜港に入港した世界最大のコンテナ船「エマ・マースク」(11,000TEU※ 17万794総t/デンマーク) 【写真提供:(財)横浜港埠頭公社】※TEU 20フィートコンテナ1個の大きさを基準として、何個まで積載できるかを表す単位 [写真右]ドライコンテナの内部 |
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