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日本近海の海域火山(海底火山と火山島)の分布[図版提供:海上保安庁海洋情報部] |
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観測・調査が難しい海底火山 |
海底火山は、海の底にあることから、また広大な海洋に点在していることから、実際に噴火している回数に比べ、人によって観測される機会は大変少ない。たとえば、現在、海上保安庁海洋情報部の「海域火山データベース」で公開されている火山は、36か所に過ぎない。しかし、実際には日本近海だけでも、それよりはるかにたくさんの海底火山があり、気づかれないうちに噴火を繰り返していると考えられる。 一般的に、海底火山の確認や調査は、航行中の船舶や飛行機、操業中の漁船などによって偶然発見された後に、研究者などによる観測・調査が行われることが多い。このため近年では、人工衛星を使って海底火山の活動を観測しようという試みも始まっている。また活動中の海底火山の調査についても、従来は海水の変色や吹き上げられた軽石などの現象調査のみにとどまることが多かったが、最近では海の中を自律的に動き回る海中ロボットであるAUV(Autonomous Underwater Vehicle)の開発により、これまで以上に詳しい調査ができるようになりつつある。 |
今も活動を続ける海底火山の数々 | |||
日本の近海にある主な海底火山には、比較的最近、火山活動を起こした明神礁、西之島新島、福徳岡ノ場、海徳海山に加え、手石海丘、薩摩硫黄島の6か所がある。 明神礁は東京から400km以上南、伊豆諸島南部にある海底火山で、1952(昭和27)年の大噴火を最初に報告した第十一明神丸という漁船にちなんで命名された。この時の噴火では、調査に出向いた海上保安庁の調査船が噴火に巻き込まれ、31名が亡くなっている。この海底火山は、激しい爆発を度々起こし、噴火によって何度も新しい島を形成したが、再度の爆発や波の浸食などにより、島は形成と消滅を繰り返している。一方で、明神礁よりもさらに南にある無人島の西之島で起こった1973年の海底火山噴火では新島が形成され、こちらは現在でも存在している。 いずれにしても、海底火山の活動は、直接、海運や漁業に被害を与えることはまれである。しかし、その活動は科学的な研究対象として、地球の成り立ちや生物の進化を探る貴重な機会であり、今後は、より確実で効率的な観測と調査の推進が期待されている。 |
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