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写真左 経済産業省「マンガン団塊採掘システムの研究開発プロジェクト」の海洋実験用集鉱機[写真提供:産業技術総合研究所] 写真右 マンガン団塊の一種であるマンガン・クラスト。堅い地盤の上に分布する[写真提供:海上保安庁海洋情報部] |
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可能性を秘めた多様な資源 |
一方で「海底石油・ガス」以外の海底資源は、いずれも現在、採掘技術に関して一部で試みられているものの、その多くはまだ概念設計の段階であり、精錬技術についても実験室レベルでの段階にある。しかし、これらの資源は、近い将来、その採掘や精錬の実用化が期待されていることも、また事実である。 「マンガン団塊」は、鉄やマンガン酸化物が海水から沈殿し、凝集したもので、マンガン・クラストは海山の山頂や斜面の表面に、鉄・マンガン団塊は水深4500〜6000mの深海底に分布している。日本近海では深海型の大規模な分布こそないものの、各地の海山に散在しているという。「熱水鉱床(温泉沈殿物)」は海底火山の活動によって湧出する熱水から沈殿した鉱物で、厚さ数10mほどの泥状や塊状で分布しており、日本近海では沖縄トラフや南方諸島の海底火山周辺が主な産地となっている。 これらの海底資源に比べ、さらに未知の海底資源となるのが、「ガス・ハイドレート」である。これは水分子内にメタンなどの気体分子が取り込まれたシャーベット状のガス水和物で、一般的にはメタン・ハイドレートと呼ばれている。産状としては水深100〜1000mほどの比較的浅い海底に層状に分布しており、日本近海では北海道周辺や本州南方沖の大陸斜面に、有望な産地があると思われる。しかし、その探査活動や精錬技術は基礎研究が始まったばかりの段階であり、資源として実用化されるのはしばらく先のことだという。 このように海底には、人類が未だ発見していない数多くの資源が眠っており、未来の地球を支えていく存在であることは間違いない。 |
![]() [出典]独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物流通機構
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未来の資源メタンハイドレート
■日本近海のメタンハイドレート分布予測メタンを中心に、その周囲を水分子が取り囲んだ物質であるメタンハイドレートは、一見、氷に似ており、しかし火をつけると燃えることから、「燃える氷」とも呼ばれている。メタンハイドレートは、1m3を溶かすと164m3のメタンガスとなり、さらに石油や石炭などと比較すると燃焼する際に排出する二酸化炭素の量がおよそ半分であるという点からも、将来の地球のエネルギー資源を支える可能性を持つ、海底資源として注目されている。さらに日本近海は、世界最大のメタンハイドレートの埋蔵量を持つとも言われている。このため、もし石油の採掘量が減少し、そのコストの高騰から、仮にメタンハイドレートが主なエネルギー資源となった場合、日本は世界最大の資源大国になるとの予測もある。 現状では、メタンハイドレートの商業化は実現されていない。海底に分布するメタンハイドレートは、海底の地中に氷のような結晶としてあるため、液状の石油やガスのように、容易に掘削・精錬することができず、それを実現するとなると、非常に高いコストとなってしまうからである。近い将来、より低コストな採集技術ができることに期待したい。 |
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