高潮発生の主な要因 |
吸い上げ |
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台風や低気圧の中心気圧は周辺より低いため、周囲の空気が海面を押し付け、中心付近の空気が海面を吸い上げるように作用し海面が上昇する。気圧が1ヘクトパスカル低くなると、海面は約1cm上昇する。 |
吹き寄せ |
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台風に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が通常より高くなる。水深が浅いほど、吹き寄せ作用が働き、高潮が発達しやすくなる。 |
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気圧と風が海面を持ち上げる |
高潮とは、台風や発達した低気圧により、海面が通常より高くなる現象をいう。海面上昇の度合いが大きいと堤防などを乗り越えてしまい、背後地への浸水を招く。被害の実態だけを見れば津波と同様であることから、かつては高潮と津波が混同されることもあった。しかし、津波は地震による海底の地形変動を原因とするもので、発生のメカニズムも頻度も高潮とは異なり、現在は明確に区別されている。
台風や低気圧が高潮を発生させるメカニズムは、気圧と風の影響にある。台風の中心部分は周辺よりも気圧が低いため、その部分の海面が吸い上げられるような状態になる。これを気圧低下による「吸い上げ」現象と呼ぶ。また、台風に伴う強い風が沖から海岸へ向かって吹くと、海水が「吹き寄せ」られて、海岸部の海面が上昇する。
高潮そのものの発生は「吸い上げ」「吹き寄せ」が主な要因だが、海面上昇の度合いと海岸の背後地に及ぶ被害規模は、他のさまざまな条件によって左右される。
台風が通過するコースが被害規模に及ぼす影響も大きい。北半球の台風は、上から見て反時計回りに強い風が吹きこんでいる。日本列島に上陸する台風は南西から北東へ向かう。台風の進行方向に向かって右の半円では台風の移動方向と風向きが同じになるため、風の効果が相乗する。そのため、南側に口を開いた湾の西側を台風が通るときに、湾の奥は要注意地域といえる。
実際、過去50年間に潮位偏差(平常時と高潮発生時の潮位の差)が1m以上となった高潮は、ほとんどが東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、有明海の遠浅で南に開いた湾で発生している。高潮の注意報や警報は、過去の発生データをもとに、推算潮位や満潮時刻、潮位偏差予測値を計算し、発表される。台風上陸時にはそれらの情報に十分に留意されたい。 |
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