島の海の多彩な表情 |
佐渡島の海は表情豊かだ。島は悠久のあいだ日本海の荒波にもまれつづけ、個性的な景観を形作ってきた。ある場所では湾が奥深く入り込み、またある場所では緩やかな海岸線がつづく独特の形状の島ゆえ、同じ島内とは思えないようなバリエーションに富んだ海の景色が育まれたのである。
真野湾に面した佐和田海岸は約4kmの砂浜で、一角がクロマツ美林で覆われ「越の松原」と呼ばれている。夏は海水浴でにぎわうほか、ウインドサーフィンやジェットスキーなどのマリンスポーツが盛ん。近年は毎年9月、全島をコースにして行われる「佐渡国際トライアスロン」のスタート地点となっている。日本でも有数の透明度を誇る佐渡の海と白い砂浜、それらが夕刻になると他の地域ではなかなかお目にかかれない見事な落日に照らされ、絵画のような世界が眼前に広がる。
一方、対照的なのが大佐渡の北西の外海府海岸。豪壮な岩場がつづき、なかでも相川地区の尖閣湾は、紺碧の海に屹立する断崖と、波に洗われる珊瑚が織り成すダイナミックな造形美で知られる。「日本の渚百選」にも選ばれている尖閣湾一帯は、一部海中公園に指定されており、海中透視船で岩のあいだをすり抜けるようにして海中の様子が楽しめる。日本海の岩場と言えば福井県の東尋坊が有名だが、島の人は外海府も勝るとも劣らないと自賛する。
また、佐渡島ならではの海の楽しみと言えば、「たらい舟」体験だ。もともとは、岩礁の多い小木海岸でサザエやアワビ、ワカメなどの漁に使うため、小船より安定感があり、小回りが利いて自由に操作できるように考案されたもの。現在でもたらい舟を使った漁はおこなわれている。
観光用のたらい舟は漁で使うものより一回り大きく作ってあり、定員は船頭を除いて3名。船頭との会話を楽しみながら波にゆられる心和むひとときだ。 |
|
|
 |
2008(平成20)年9月、トキ10羽が佐渡島から試験放鳥された。現在、国内には同年生まれの若鶏28羽を含む122羽のトキが生息している。 |
|
 |
観光たらい舟は小木港に隣接する |
|
 |
尖閣湾の海中透視 |
|