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佐和田海岸の夕景 [アクセス]両津港より車で約35分

島の海の多彩な表情
 佐渡島の海は表情豊かだ。島は悠久のあいだ日本海の荒波にもまれつづけ、個性的な景観を形作ってきた。ある場所では湾が奥深く入り込み、またある場所では緩やかな海岸線がつづく独特の形状の島ゆえ、同じ島内とは思えないようなバリエーションに富んだ海の景色が育まれたのである。
 真野湾に面した佐和田海岸は約4kmの砂浜で、一角がクロマツ美林で覆われ「越の松原」と呼ばれている。夏は海水浴でにぎわうほか、ウインドサーフィンやジェットスキーなどのマリンスポーツが盛ん。近年は毎年9月、全島をコースにして行われる「佐渡国際トライアスロン」のスタート地点となっている。日本でも有数の透明度を誇る佐渡の海と白い砂浜、それらが夕刻になると他の地域ではなかなかお目にかかれない見事な落日に照らされ、絵画のような世界が眼前に広がる。
 一方、対照的なのが大佐渡の北西の外海府海岸。豪壮な岩場がつづき、なかでも相川地区の尖閣湾は、紺碧の海に屹立する断崖と、波に洗われる珊瑚が織り成すダイナミックな造形美で知られる。「日本の渚百選」にも選ばれている尖閣湾一帯は、一部海中公園に指定されており、海中透視船で岩のあいだをすり抜けるようにして海中の様子が楽しめる。日本海の岩場と言えば福井県の東尋坊が有名だが、島の人は外海府も勝るとも劣らないと自賛する。
 また、佐渡島ならではの海の楽しみと言えば、「たらい舟」体験だ。もともとは、岩礁の多い小木海岸でサザエやアワビ、ワカメなどの漁に使うため、小船より安定感があり、小回りが利いて自由に操作できるように考案されたもの。現在でもたらい舟を使った漁はおこなわれている。
 観光用のたらい舟は漁で使うものより一回り大きく作ってあり、定員は船頭を除いて3名。船頭との会話を楽しみながら波にゆられる心和むひとときだ。
 
2008(平成20)年9月、トキ10羽が佐渡島から試験放鳥された。現在、国内には同年生まれの若鶏28羽を含む122羽のトキが生息している。
観光たらい舟は小木港に隣接する
尖閣湾の海中透視

民俗芸能が根付いた暮らし
 「芸能の島」と言われるほど、佐渡には多彩な民俗芸能が受け継がれているが、その代表は教養として、娯楽として受け継がれてきた能楽である。
 能楽の大成者である世阿弥は15世紀半ば佐渡に流されたが、佐渡で能が盛んになった直接の原因ではないとされる。庶民にまで浸透したのは、江戸時代になってからのことだ。初代佐渡奉行・大久保長安は能楽師でもあり、奈良から能楽師一行を伴って佐渡に渡ってきた。この一行と末裔たちが佐渡に土着し、神事能として歩み出したというのが定説である。
 能楽は武家のものと伝承され、能を舞うのは奉行所の役人たちだったが、元禄以降になると俄然庶民による演能が多くなった。佐渡の宝生流家元・本間家が島内各地に門下生を得るようになり、次第に庶民へ広まっていったのだ。
 現在、島には30ほどの能舞台が残る。県内の一地域にすぎない島のなかにこれほどの舞台が存在し、神社祭礼として定期的に薪能が奉納される土地は稀だろう。
 いまも佐渡の農家の人たちは、畑仕事の最中に謡曲を口ずさむという。祖先から受け継がれた民俗芸能がしっかりと根付いている心豊かな暮らしの一コマである。
 
海岸の各所で「奇岩」と呼ばれる光景が見られる。写真は「二ツ亀」
夏から秋にかけて、島内の神社で薪能が奉納される

めしあがれ
いごねり
エゴ草という海藻を煮詰めて固めたもの。そばのように細く刻んで、ネギやワサビなどの薬味をつけ、醤油をかけて食べる。ポン酢や酢味噌も合う。さっぱりとした磯の香りが楽しめる佐渡の代表的な食品だ。
おけさ柿
とろけるような舌触りが特徴で、ビタミンCをたっぷり含む。種がないので食べやすい。果実をそのまま食べるのはもちろん、柿酒や柿ワイン、シャーベットなどに加工した商品も人気だ。

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