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「三保の松原」 [アクセス]清水駅よりバス(三保線)で30分

富士山の絶景と羽衣伝説
 清水港の三保地区の太平洋側は、この界隈ではもっとも著名なエリアだろう。白砂青松の美しい松林がつづく約7kmの海岸、そこから駿河湾を挟んで富士山や伊豆半島を望む眺望は、まさに絶景。この「三保の松原」は平安の昔から景勝地として知られ、現在は日本新三景、日本三大松原のひとつに数えられる。
 浜に伝えられる「羽衣伝説」をご存知の方も多いだろう。この地に住んでいた漁師が、松の枝に美しい衣がかかっているのを見つける。持ち帰ろうとすると天女が現れ「それは天人の羽衣。どうぞお返しください」と言う。ところが、それを聞いた漁師は喜んで「これは国の宝にしよう」と返す気配を見せない。天女は、それがないと自分は天に帰ることができないと泣き始めた。漁師は天上の舞いを見せてもらえば衣を返すと申し出る。天女は羽衣を身にまとい月世界の舞いを披露した。ひとしきりの舞いのあと、天女は天高くのぼって行った。十五夜の月明かりが美しい宵のことであった。
 
三保の松原にほど近い御穂神社には天女がまとったとされる「伝説の羽衣」が保存されている
三保の松原に憧れながら訪れることなく他界したバレリーナ、エレーヌ・ジュグラリスのために建立された「羽衣の碑」
樹齢650年の羽衣の松

歩みとともに変化する景観
 浜には天女が舞い降りたとされる樹齢約650年の松の樹が残されており、富士山の景観と並んで観光客の目当てのひとつとなっている。ここが散歩コースの起点だ。海岸沿いに設けられた舗装コースと松林のなかを抜ける自然道のコース、どちらを選ぶのもいいだろう。約7kmは決して短くはないが、海岸線の起伏に応じて変化する景色を眺めながら楽しむ散歩に、疲れを感じることはないだろう。途中でベストな撮影スポットを探りながら歩くのも楽しい。しかし、肉眼に勝るレンズはない。あらためてそんなことを感じさせられる景色である。
 日本で初めて鉄筋コンクリートで作られた清水灯台にたどり着けば、そのあたりが三保の松原の終着点だが、もう少し足を伸ばして東海大学の海洋科学博物館を見学するのもよいだろう。ここは海の科学を専門にした日本唯一の博物館であり、海の生物や最新の海洋科学の研究成果などが展示されている。つい先ほどまで目にしていた美しい海が秘める自然の価値と可能性を実感できることだろう。
 
清水灯台は日本初の鉄筋
コンクリート造の灯台
三保半島の先端エリアにある東海大学海洋科学博物館
海洋科学博物館の展示は海の生物や最新の海洋科学など幅広い

めしあがれ
マグロ
清水港はマグロの水揚量日本一。クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンチョウなどさまざまな種類のマグロが世界各地から入ってくる。水揚拠点である江尻地区の「河岸の市」では、仲卸業者の直売により安価で買えるほか、場内に設けられた多くの食事処で新鮮なマグロが味わえる。
追分羊かん
本店は1695(元禄8)年創業。江戸時代から、東海道をいきかう旅人の疲れを癒してきた伝統の銘菓。素朴な竹皮包みの蒸し羊かんで、口に含むともっちりとした歯ごたえとともに、あっさりとした甘みと竹のさわやかな香りが口いっぱいに広がる。

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