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[写真左]西ふ頭に設置されたベルトコンベアで木材チップが運ばれる [写真右]王子特殊紙(株)江別工場

多目的国際ターミナルの登場で港の優位性が向上
王子特殊紙(株)江別工場
事務部 山田 一隆 調査役
 2007(平成19)年、石狩湾新港の取扱貨物量が過去最高の419万8736tを記録。対前年比120%を超える伸長の要因は、水深−14m岸壁を有する西地区の多目的国際ターミナルの供用開始だ。ここで新たに取扱いはじめた木材チップを中心とする林産品が、同年の取扱貨物量のうち約33%でトップ。2番目はガソリン・灯油・LPGなどの石油類の約25%、3番目が建設用骨材として使用される砂・砂利の約17%とつづく。
 それまで、同港の最大のふ頭は水深−10mで、接岸できる船舶も2万t級までだったが、多目的国際ターミナルの供用開始により、5万t級の大型船舶が接岸できるようになったのである。
 そして、物流の効率化を目的とした地元の企業が、新ターミナルに注目。王子製紙グループの王子特殊紙(株)江別工場向けの木材チップ船が利用第1号となった。ターミナルには、木材チップのストックヤードや、岸壁からストックヤードへ木材チップを運ぶベルトコンベアなど、輸入港として充実した設備が置かれている。
 同社事務部の山田一隆調査役は次のように語る。
 「以前は別の港で他の製紙会社とチップヤードを共同利用し、製紙原料の木材チップを2港揚げで荷揚げしていました。これを、石狩湾新港の新しいターミナル1ヵ所で、当社の専用船からの荷揚げにシフトすることで、岸壁使用料などが抑えられます。さらに大きなメリットとして挙げられるのが、港と工場間のトラック輸送の効率。石狩湾新港から工場までの距離は約33km。これは過去に利用していた港の半分です。計画当初、年間約1億円の物流コストダウンにつながると見込んでおり、実際、ほぼ計画どおりの効果が上がっています。冬の豪雪の影響が懸念されていましたが、現在までトラブルはありません。今後、さらに周辺道路が整備される予定なので、輸送効率はさらに向上するでしょう」(談)
 新ターミナルの登場が、同港の立地面のアドバンテージを高めた。石狩湾新港地域は今後、背後地の造成や分譲、企業誘致など
に力を注いでいく。

[写真左・中]コンテナ貨物を取扱う花畔ふ頭。 [写真右]LNG基地が建設される中央ふ頭

港で進められる豊かで安心な生活への取り組み
 札幌や道央圏へのエネルギー供給基地としても、同港は今後ますますクローズアップされるだろう。北海道ガス(株)が、同港に道内初の輸入液化天然ガス(LNG)基地の建設を決定したのだ。道内の他の都市ガス8社と共同で長期的かつ安定的な供給基盤を整え、LNGのさらなる普及が図られる。
 同港中央ふ頭の約10haの敷地で、今年、地盤改良工事に着手し、基地の運転開始は2013(平成25)年の予定。LNGの調達先は多くの候補国が挙げられ、検討がなされているところだ。
 燃焼時のCO排出量が少ないLNGの普及が進むことは、環境問題への対応が急がれる現在にあって注目度の高いトピックだ。供給基地である同港の発展にも、いっそう拍車がかかることだろう。
 港としての利用価値が高まるほどに、いかなるときにも安定的に機能することが求められる。同港では大規模地震の発生時、緊急物資等の受入れに対応すべく、花畔ふ頭に延長170m、水深−10mの耐震強化岸壁を整備する。2006(平成18)年度からはじまった調査を終え、今年着工された。
 この岸壁は、震度6強〜7相当の大地震が起きても被災直後から使用可能。現在の港湾施設設計の耐震基準における最高のレベルだ。
 物流港湾として、エネルギー供給拠点として着実に発展を遂げる同港に、またひとつ、市民生活における重要な防災拠点という新たな機能が備わる。

全国の音楽ファンが集まる2日間
 全国的に見て、石狩湾新港の知名度は若い世代のほうが高いのではないか。1999(平成11)年以来、国内最大級の野外音楽イベント「ライジング・サン・ロックフェスティバル」が、毎年8月に石狩湾新港樽川ふ頭横の特設ステージで開催されているのだ。土日の2日間、人気アーティストたちがオールナイトでライブを繰り広げる。
 収容人数5万人の会場へは、札幌市内の地下鉄からシャトルバスが運行。都市圏からアクセス良好な場所に、広大な敷地を持つ同港の特徴が活かされたイベントである。



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