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高度成長期の工業化を背景に、わが国は埋立による国土づくりに取り組んできた。
21世紀に入ったいま、その目的は様変わりしたが、
埋立そのものの役割や重要性はなんら変わることはない。
とくに近年は、巨大な沖合人工島(海上空港)を構築する
海洋土木工事の基幹技術として注目を集めている。
埋立の基礎について、2回にわたってとり上げる。

埋立材料は浚渫土、山砂、廃棄物など

 埋立とは、土砂を海域に投入し陸地化して有効な土地を造成することをいう。国土が狭いわが国では古くから埋立の歴史があり、とくに昭和30〜40年代の高度成長期には、工業化を背景に海岸線では数多くの埋立が行われた。埋立・干拓による造成面積は、国土面積の約0.5%に達するというデータもある。
 投入する土砂は、一般的に浚渫して採取する海底土砂や、陸上で採取する山砂が使われる。さらに建設工事で発生する残土や廃棄物なども有効利用されてきた。近年は廃棄物などは、環境問題や処分場の不足問題を解決する方法の1つとして、積極的な活用が図られている。土砂の種類や発生源、埋立地までの距離などの条件をもとに施工方法を選択する。
 海底土砂による埋立は、ポンプ船やグラブ船などで浚渫した土砂で埋立てる。航路や泊地の浚渫と平行して行うと、土砂を購入しなくて済むので経済的だ。日本では最近、この方法による大規模な埋立は少ないが、海外ではビッグプロジェクトが展開されている。
 山砂による埋立は、採土場で取った土砂をベルトコンベアやトラックなどで海岸線まで運搬し、土運船で埋立地に投入する方法である。関西国際空港や神戸ポートアイランドは山砂で埋立てられた。
 廃棄物を使った埋立は、首都圏など人口や産業が集中した地域に多い。埋立方法には、積み出し桟橋から土運船で埋立地まで運搬する方法、ダンプトラックなどで直接乗り入れて投入する方法がある。羽田空港の沖合展開は、浚渫土や、建設発生土などで埋立てた。
 埋立は、まず護岸で周囲を囲み、その中に土砂を投入する方法が採用されている。護岸の種類は水深や波浪条件、埋立材料などで決められ、捨石式、ケーソン式、矢板式、鋼セル式などがある。また、施工時には埋立の進行に伴って埋立地の外に汚濁水が流出しないように、汚濁水を処理するための沈澱池や処理施設がつくられる。


代表的な埋立工法は3種類

 代表的な埋立工法として、以下の3工法と特徴を簡単に紹介する。

1. ポンプ船による埋立工法
 大きく送管方式とバージローディング方式がある。
 送管方式は、ポンプ船で掘削、吸泥した土砂を、排砂管と呼ばれるパイプラインで連続的に埋立地まで送る方式。効率がよく経済的だが、海水と混合された状態で送泥するため余水処理が必要になる。
バージローディング方式は、浚渫土砂を土運搬に積み込み、埋立地まで搬送する方式。浚渫地と埋立地の距離が長い場合に経済的だ。積み込み時に汚濁水が発生するため、防止技術が開発されている。
●ポンプ船による埋立
カッターで掘削した土砂を海水と分離した後、パイプを通じて埋立地に送る(参考:「土木工学ハンドブック」技報堂出版)

2. 土運船による埋立工法
 ホッパーをもった土運船を使い、土砂を埋立地に運搬し、直接投入する工法である。土運船には自航式と非航式があり、さらに非航式は引船で曳航するものと、押船で土運船のうしろから直接押すプッシャーバージに分けられる。
 また土運船は、ホッパーの型式により底開式、側開式、全開式、箱型式等に分類することができる。
●土運船による埋立
土運船により土砂を埋立ポイントに運び、船底部を開いて直接投入する

3. 揚土による埋立工法
 揚土船を使った工法で、揚土方法は機械方式とポンプ方式に大別できる。機械方式は低含水比の土砂の揚土に適している。ただ搬送距離は短い。ポンプ方式は高含水比の土砂の揚土に適し、長距離搬送が可能である。
 揚土船による埋立工法は、近年の大規模な人工島の建設に伴い、周辺海域への影響を低減する工法として開発された。具体的な揚土工法として空気圧送工法、ハイドロホイスト工法、リクレーマ工法、バージアンローダ船工法などがある。
●揚土船による埋立
運搬された土砂をリクレーマー船により揚土、ダンプトラックで所定の場所へ運搬して、ブルドーザーによって整地する

 これらの3工法以外に、運搬・揚土後の二次運搬による埋立工法に、ブル・ダンプ工法、ブル・コンベア工法、フローティングコンベア工法がある。

日本に欠かせない軟弱地盤対策技術

 埋立地は軟弱な地盤の上につくられることが多い。このため地盤の沈下対策や地震による液状化対策などのため、地盤改良技術が開発されてきた。埋立地の上につくられる構造物の安全性を確保する上では、埋立そのもの以上にこうした軟弱地盤対策技術は重要になる。
 沈下対策では、バーチカルドレーン工法といった地盤改良技術が古くから開発されている。これは軟弱な地盤の中に排水材を打ち込んで人工的に水を排出し、強制的に地盤を沈下させて強固にする工法だ。これによって自然な状態だと数10年もかかるような沈下を、短期間に完了させることができる。埋立地の上につくる構造物に早く着工するという意味でも、今日の埋立工事にはなくてはならない技術だ。
 また地震の際に問題になる液状化対策技術では、液状化を起こさないように事前に埋立土砂を改良する工法などが開発されている。土にセメントなどを添加・混合してあらかじめ改良し、この土砂で安定した地盤を造成する技術だ。支持力の増大などにも効果的である。
 沈下対策、液状化対策についてはこれら以外にも、さまざまな技術が開発されている。
 近年、埋立地は沿岸部から沖合部に建設する傾向が強まってきた。しかも関西国際空港、羽田空港沖合展開、中部国際空港などに象徴されるように、大規模な埋立事業が行われている。
 このため埋立工法そのものだけでなく、軟弱地盤対策技術や地盤沈下予測手法、高波浪対策技術などは、ますます高度化の傾向にあり、研究開発が繰り広げられている。同時に環境保全という今日的な課題は、水質汚濁防止技術を始めさまざまな環境関連技術の開発を促した。埋立においても、環境という側面からのアプローチは、事業の成否を握っているといっても過言ではない。
 次回は、環境という視点から埋立についてみることにする。

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