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ダイビング学科1年生の仲間たちと。左から2番目が黒田和宏さん |
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港湾土木工事や海洋環境調査などに従事する作業ダイバー(潜水士)をめざし、日本海洋技術専門学校に学ぶ黒田和宏さん。海の近くに生まれ幼い日を過ごしましたが、大人になるまでとりたてて海に愛着を感じることはありませんでした。 「あまりに身近すぎると風景の一部、海があるのが当たり前という感覚でした」(談)。 高校を卒業すると、かねてから関心を寄せていた心理学を学ぶため、海外の大学へ。そんな彼の強い目的意識と行動力が海に向けられたのは、帰国してからのふとした体験がきっかけでした。 「ふらりとひとりで近所の海に出かけて、ゴーグルとシュノーケルを着けて素潜りをしてみたら魚がたくさん泳いでいて、『こんなところにこれほど生き物がいるんだ!』と驚きました。以来、夏は週に3日くらいのペースで潜りました。海は、船が通れば波が起きて飲まれそうになったり、潮で沖に運ばれたりと危険が伴う場所。そのなかで安全に心がけながら楽しめる点が、自分にとっての海の魅力です」。 やがて知人から潜水士の会社を紹介され、アルバイトを開始。テンダー(海上からダイバーたちに空気を送る支援員)として働くうちに、自らも潜水士を志すようになり、現在の学校へ進みました。 潜水士として活躍するために総合的なノウハウを習得できる同校の授業を受け、「船のエンジンの機構など潜水と直接的に関係はなくても幅広い知識を吸収するのが楽しい」と語ります。 「資格試験のための集中講座なども、受けていておもしろいと感じます。入学から8カ月ほどのあいだに玉掛けや高圧ガス、危険物取扱ほか8つほど資格を取得しました」(談) 同校での潜水の実習は、基礎となる水泳に始まり、専用のプールでのトレーニング、やがて海へ出て30mもの深さに潜る演習までメニュー化されています。1年生の彼はプールでのトレーニングが主ですが、そのなかで潜水のプロとしての意識が次第に育まれてきました。 「ボンベをかついだり、海上から送気してもらったりするわけですから、はじめは『息が続くからいちいち浮上する必要がないのがいいなあ』程度に考えていました。でも、減圧症※や送気のためのコンプレッサーに排気が混入する危険も伴います。安全のために潜水の機材を使うわけですが、機材を使うがゆえに命にかかわるリスクも考えなければなりません。趣味でやっていた素潜りよりも、さらにシビアに安全確保を心がける必要があります」(談) 将来は海洋調査員の仕事に就きたいという黒田さん。「人間が生活していれば、何らかしら環境への影響はある。でも、そのなかで均衡を取って共生していけるはず」と、明確なビジョンを携え、夢へと歩んでいきます。 ※水圧の低下により体内に溶けていた気体が気泡になって血管閉塞などを起こす症状 |
![]() 水深5mの潜水訓練用プールで、
ダイビングの基本を身につける |
![]() 海洋実習では国内の各地へ遠征することも
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![]() 海について多角的な知識を習得するため、
座学にも相当の時間があてられる |
日本海洋技術専門学校
日本で初めての「海の専門学校」として1986(昭和61)年に設立。港湾・海洋業界の従事者、マリンレジャー・マリンスポーツに対応するスタッフ、舟艇の製造・修理やマリンエンジンのサービスエンジ二ア、エンジンメカニック、船長・クルーほか、海で働くスペシャリストを育てる専門カレッジ。海洋技術学科、ダイビング学科、海洋デュアルシステム学科、海洋技術研究科の各学科に加え、国家資格試験などに対応するオープンカレッジも開設。2年課程を修了すると「専門士」の称号が授与され、短大卒業と同等となり、大学3年次・短大専攻科への編入学の資格が取得できる。
海洋デュアルシステム学科では、学校での座学と企業での長期実習研修を取り入れ、企業が求めるスキルの高度化と即戦力志向に対応している。 その他、海に関する多くの資格の指定・認定校として、授業のなかで有利かつ確実に資格を取得することが可能。現在約800名の卒業生が全国で活躍している。 |
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