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生まれ育った湘南で、インストラクターとして活躍する野口貴史さん

「趣味を仕事にしたので、趣味と呼べるものがない」と苦笑い
 
インストラクター 野口 貴史さん
マリンスポーツ人口は年々増え続けているそうですが、縁のない人にとってはまるで別世界のこと。『楽しめるようになるほど習熟できるだろうか』『お金がかかりそう』といったマリンスポーツの一般的なイメージに『NO!』の声を上げ、気軽に楽しめる趣味として広めることを生業とする、一人の青年に話を聞きました。

約30分の水上オートバイ実技教習は、文字どおり『密着指導』。出発時には緊張気味の生徒も、教習を終えて帰ってくるころにはすっかりリラックスしている

教習後の生徒に「センスあるよ。試験は合格まちがいなし!」と励ましの声をかけて送り出す

肌寒い季節になっても、休日の江ノ島には大勢の人出。マリンスポーツを楽しむ人も多い。ボートや水上オートバイなどをカジュアルな趣味として定着させたいと願う野口さんの活動が実を結べば、さらなる盛況ぶりを見せることだろう

   片瀬海岸から江ノ島へ続く弁天橋を途中で下りた船着場から、海面を滑るように水上オートバイが出発します。二人乗りのマシンを操縦するのは、インストラクターの野口貴史さん。後ろに少々緊張気味の生徒を乗せて、あっという間に沖へ。そこで操縦を生徒に譲り、後ろのシートからコースを指示しながら指導。30分ほどの教習を終えて船着場に戻ると、次の生徒と交代してまた沖へ向かいます。教習を終えた生徒に「免許が取れたら一緒に遊びましょう」と野口さん。
 彼が「湘南マリーン総合学院」で仕事を始めたのは約1年前のこと。水上オートバイに加え一級船舶、二級船舶と、同校の教習コースすべてを教えるインストラクターとして活躍しています。
 取材当日は水上オートバイの教習が行われ、10代から40代6名の生徒が受講。生徒の年齢層について野口さんに尋ねると「60歳以上の方も水上オートバイの教習を受けにいらっしゃいますよ」との答え。これから日本の高齢化がさらに進めば、もっと上の年代の方も増えていくのかもしれません。
 湘南生まれの彼は、高校時代にサーフィンに目覚め、学校帰りに毎日海へ向かうほど熱中しました。やがて大学へ進むと水上オートバイの免許を取るとともに、アルバイトでウェイクボード(モータボートで牽引する水上スキー)のインストラクターに。卒業後、一度は一般企業に就職するも、海に関わる仕事への想いが募り、マリンスポーツの世界に舞い戻りました。
 「趣味を仕事にすると、楽しかったことがやがて義務になってしまうといいますが、まだそんな実感はありません。でも、休日は海に出かけなくなったかな(笑)。僕の仕事はインストラクターだけではなく機材レンタルのお客様の対応もあります。教習も学科と実技の両方を受け持つので、毎日やる仕事が違うし忙しいですが、好きなことをやっているわけですから、楽しいしやりがいを感じます」(野口さん)。
 彼が仕事に向かう最も大きなモチベーションは、自分が長年に渡って親しんできた海の魅力を、もっと多くの人に広めたいという願いです。
「マリンスポーツは、昔ほど敷居の高い遊びではなくなっています。
たとえばモーターボートなどはお金持ちの遊びと思われがちですが、レンタル料金は車と変らない。二級船舶免許の講習は学科と実技で2日間、試験も決して難しくないんですよ。意外なほど気軽に始められて、やってみればとても魅力的なジャンルだということを広く周知させていけば、必ずマリンスポーツ市場は活性化するはずです」(野口さん)。
 彼の熱意あふれるコメントは、日本に暮らしながら海で遊ばないのはもったいないと思わせられるような説得力を持っていました。

免許取得からインストラクター養成、独立支援まで
湘南マリーン総合学院
   神奈川県藤沢市の湘南マリーン総合学院では、一級船舶免許(原則的に20t未満の船舶で航行区域制限なし)と二級船舶免許(20t未満の船舶で航行区域制限あり)、特殊小型船舶操縦士(水上オートバイ)資格取得教習が受けられる。教習は冬季も含めて通年で実施している。
 また、各種マリンスポーツのインストラクター養成コースも開講。修了者には就職先の斡旋や、本部オフィススペース、レンタル機材の共用などを通じて独立開業を支援する。
 ウェイクボードやジェットスキーなどのレンタルサービスも行っており、設立以来約25年にわたってマリンスポーツ全般の普及に努めている。

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