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国立館山海上技術学校三年生の皆さん

「航海実技」に取り組む学生たち
 
国立館山海上技術学校 本科 三年生
国立館山海上技術学校は、中学校卒業者を対象として3ヵ年の高等普通教育と専門教育を行い、航海士や機関士を育成。義務教育を終えて同校に進んだ学生たちは“船で日本中を、世界中を巡る”という、多くの人が一度は心に描きながらもやがて忘れ去ってしまいがちな夢に向けて、着実に歩みを進めています。











間瀬博昭君は来年の9月には乗船実習科を修了し、幼いころからの夢だった船員の仕事に就く。

将来は外航船に乗りたいと語る岡田隼輝君。

加藤真帆さんは「他では得られない経験ができる点がこの学校の魅力」と語った。

   現在、国立館山海上技術学校には一年生45名、二年生38名、三年生40名が在籍。学生たちは関東のほか東海・関西など各地から集まり、ほぼ全員が寮生活を送っています。
 三年制の本科では、一般の高校と同様の普通課目に加えて船舶運航の専門科目を履修。専門科目には座学だけでなくさまざまな実習科目も設けられています。全課程を終了すると大学受験資格と二級小型船舶操縦士の資格が取得でき、四級海技士受験時の筆記試験が免除に。また、乗船実習科に進めば、通常1年9ヵ月以上の乗船履歴が必要となる四級海技士の受験資格が6ヵ月間の航海実習で取得できます。進学先は海上技術短大や海洋系の大学。就職先は商船・フェリー・作業船・漁船等や官庁が多く、船に乗る職業に就きたいと願う若者にとって同校は最も確実な道のひとつといえるでしょう。
 今回は“船長・機関長の卵”たちに迫るべく、同校三年生の海上実習におじゃましてきました。海上実習は、学年全員が実習船「望洋丸」に乗り込み、操船やエンジニアリング、通信など航海に要する知識・技能を実地で学ぶ教科。朝、学校近くの係留場所から出航して正午までの約3時間、館山湾を走航しながら学生たちはそれぞれの持ち場で同乗の先生たちから指導を受けます。出航前は全員あわただしく準備をしていますが、三年生とあって動きにそつがなく余裕すら感じられます。先生の指導に真剣に聞き入る姿も頼もしい限り。無事出航して船上が少々リラックスしてきたのを機に、3名の学生に話を聞きました。
 岡田隼輝君は海のない埼玉県の出身ですが、外航船に乗っていた父親から船や外国の話を聞かされるうちに『自分も』と思うようになったとのこと。寮生活について尋ねてみると「一年生のころは上下関係が厳しくて大変でしたが、それさえ乗り切れば楽しいです(笑)」。卒業後は進学を希望しています。
 同校には少数ながら女生徒も在籍していますが、女性が船員の仕事に就けるケースは少ないとのこと。もともと機械が好きで機関士の資格を取得するために入学したという加藤真帆さんは「たとえ仕事に就けなくても、この学校での3年間の経験はきっと将来役立つと思います」と語りました。強い意志を携え愛知県からやってきた彼女は、卒業後、英語の習得のために海外留学が決定しています。
 地元千葉県出身の間瀬博昭君は「幼いころから海が好きで船員になりたいと思っていました。中学校の先生が館山出身でこの学校のことを教えてくださり、推薦を受けて入学しました。卒業後については乗船実習科へ進んで半年間航海実習を受けたあと、自動車専用船の会社に就職することが決まっています」と快活な調子で答えました。取材前日、地元野球チームの試合で4打数3安打を放ったというのも、思い描いていた将来が目前に控える希望のなせる業でしょうか。
 動機も進路もそれぞれに異なる同校の学生たちですが、一様に夢の航海生活に向けその表情を輝かせながら突き進んでいます。

 
学生たちは3年間にわたる週1回の実習で航海経験を重ねる。 同校本科の専門課程は11教科の座学に加え「航機実技」「海上実習」「総合訓練」の実習教科が設けられている。三年生3学期に行われる「練習船航海実習」は、3ヵ月間にわたって全国各地に寄港しながら航海するという、学生たちにとって初めての本格的な航海生活であり3年間を締めくくる一大イベントでもある。

海事産業の発展に寄与する人材育成のために

 独立行政法人海員学校の国立海上技術学校は、国土交通省所管の教育機関。日本の海事産業発展のために優秀な人材を育成することを目的として運営されている。中学校卒業者を対象にしているのは北海道小樽市、岩手県宮古市、千葉県館山市、佐賀県唐津市、長崎県口之津町の5ヵ所。開校当初は「高校卒業」「大学受験」の資格を得ることができなかったが、昭和60年からこの資格が付与されるようになった。

 海上技術学校の上位に当たる教育機関として、同法人の海上技術短期大学校が静岡県清水市と愛媛県今治市に設けられているほか、兵庫県芦屋市に独立行政法人海技大学校があり船舶の運航について高度な学術と技能を教授している。

 
国立館山海上技術学校 同校の学生寮

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