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港湾工事における地盤改良工事は、広範囲にわたって改良を施すことが多い。
しかも海上という特殊条件もあり、気象・海象の条件を克服して
効率よく地盤改良するための研究開発が繰り広げられてきた。
地盤改良の2回目は、多種多様な地盤改良工法のなかで、
海上での効率的な施工を可能にする特殊船舶を紹介する。

経済性に優れたサンドドレーン船

 サンドドレーン(SD)工法とは、地盤の中に透水性が高い砂杭を所定の間隔と深さで造成し、その上に敷砂をして粘性地盤の圧密沈下を促進させる工法。これまで多くの施工実績を重ねてきた。
 これを海上施工するサンドドレーン船の主な設備は砂を貫入・造成するためのケーシング、リーダー、砂供給装置、バケットなどの砂投入機、圧気装置など。サンドドレーンの打設は、圧入方式とバイブロ方式等が多く採用されてきた。
 打設方法は、@ケーシングをバイブロハンマーで地盤に貫入しAケーシング内に砂を投入後B圧縮空気を送り込み砂上面を押さえ込みながらケーシングを引き抜いて砂杭を造成する――という手順をとる。砂杭の径は0.4mから0.5m程度、軟弱地盤の深さに応じて決められる。
 打設にあたっては、地盤改良を確認する施工管理が重要なポイントになり、計測施工を含む沈下安定管理システムなどが採用されている。
 近年、沖合の大水深・大深度での地盤改良へのニーズが高くなり、作業環境はより厳しくなってきた。これを克服し大規模で短期施工を可能にする上で、サンドドレーン工法に対する期待は高い。このためサンドドレーン船は、ますます大型で高能力化が進んできた。ケーシングパイプを14連も多連装した大型船が建造されている。また、人工材料への対応など技術開発も進められている。


施工管理に優れるサンドコンパクション船

 サンドコンパクションパイル(SCP)工法は、振動などにより砂を圧入し、締固めた砂杭を造成する工法であり、SD工法に砂杭の支持力を付加したものと考えることができる。沈下が少なく、圧密期間をほとんど必要としないのが特徴だ。
 海上で施工するサンドコンパクション船は、一般的にはバージ型で、船首甲板上に3〜5本のリーダーを装備し、打設機、ケーシングなどを吊り下げた方式が採用されている。締固めには振動荷重による方法などが開発されている。
 打設方法は、@ケーシングを振動機などで所定の深さまで貫入しAケーシング先端から砂を排出しながら引上げB打ち戻しを繰り返しながら砂杭を造成――という手順をとる。
 ただし工法によっては、打ち戻しをしないでケーシング先端の振動体で造成するものもある。
ケーシング径は0.7m〜1.3m(砂杭径は1.0〜2.0m)、打設深度は水面下70m程度まで可能である。
 SCP工法は、海上での地盤改良ではSD工法などに変わる工法として普及してきた。SCP船では、砂の供給を含めて施工管理はすべてオペレーション室の施工管理機器によって操作される。海上での地盤改良の大規模・大水深化は、こうした施工機器のさらなる高度化・自動化のための研究開発を促進させてきた。各種のセンサーから得られた情報を、数値回路を介してモニターに表示させると同時に、管理記録をファイル化するシステムなどが開発されており、さらなる改良も進んでいる。

■サンドコンパクションパイル工法の例


強固な地盤に改良する深層混合処理船

 SD工法とSCP工法が砂杭を造成して地盤改良するのに対して、セメントなどを混入し化学反応で地盤改良するのが深層混合処理工法(CDM)であり、原理は根本的に異なる。
 深層混合処理船は、貫入機、攪拌翼、硬化剤注入管からなる処理機、サイロ、硬化剤プラントなどが装備されている。回転式攪拌機を挿入し、スラリー状にしたセメントやモルタル系安定処理剤をポンプ圧入、さらに攪拌翼を回転させて混合し固化・改良する。撹拌翼は、多軸式のものが多い。
 深層混合処理工法は、原位置で早期に安定した堅固な地盤に改良できるのが最大の特徴だ。沈下が少なく、改良効果は極めて高い。しかも養生期間も短期間ですむ。比較的新しい工法だがSCP工法よりさらに強固な地盤改良が必要な工事などで採用されている。従来工法以上に大水深・大深度化への対応が可能だ。
 硬化剤注入方法は、引抜時吐出と貫入時吐出があり、処理機の位置により中央方式、舷側方式、舷外方式に分かれる。大規模施工に対応した専用船が多いのも特徴である。一打設あたりの改良面積は1.5〜約7m、改良深さは水面下70m程度まで可能である。
 深層混合処理工法は、他の地盤改良工法以上に高い施工精度と品質が要求されるため、これにこたえるため深層混合処理船の自動化・システム化は飛躍的に進んできた。環境面や砂の入手難といった背景から深層混合処理船の役割はますます高まっている。
■深層混合処理工法の例

深層混合処理船の撹拌翼

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